芳根京子らの恋愛描写が見事! 『海月姫』第6話を支えた新鋭演出家の正体は?

 そんな見事な演出の中で、月海を演じる芳根京子の持つ良さも第1話に匹敵するほどの輝きを放つ。前述したキスの一件の整理している所作であったり、オープニングタイトル前の天水館を出たところの表情。“尼〜ず”の面々が縫製作業に嫌気がさしてきた中で、ひとり黙々と作業を続ける熱心な姿。

 そしてクラゲのデッサンに夢中になりながら、食事の用意ができたことを告げにくる“ばんばさん”(松井玲奈)と“まやや”(内田理央)に「大丈夫です」と断りをいれる台詞の、なんとも言えない“心ここに在らず”感。月9ドラマらしいスタンダードな恋愛描写と本作の要であるコメディー描写に加え、“尼〜ず”の結束を揺るがす深刻なシーンさえも一定のトーンのまま演じられるだけの才能の豊かさを、改めて実感させられた。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『海月姫』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00放送
出演:芳根京子、瀬戸康史、工藤阿須加、ほか
原作:東村アキコ『海月姫』(講談社『Kiss』所載)
脚本:徳永友一
編成企画:渡辺恒也
プロデュース:小林宙
演出:石川淳一
制作:フジテレビ/共同テレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kuragehime/

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