『ROKUROKU』雨宮慶太が語る、ホラー表現の醍醐味 「多様な怖さの表現にチャレンジできた」
亡霊ではない、“妖怪”だからこそできる表現
ーー小説版では、高校生と小学生が主人公です。本作の設定変更の経緯、映画化するにあたり何を最も重視されたのですか。
雨宮:小説版では人間の業や怨念を題材に恐ろしい物語を梅田寿美子さんが描いてくれました。映画版はどちらかというと不条理な怪異と遭遇した人のエピソードを静かに描けないだろうかと台本を作成してもらいました。
ーーイズミとミカは、子供の頃に交わした約束によってロクロクに襲われてしまいます。結果として“バッドエンド”ともいえますが、この結末は最初から?
雨宮:小説版の『ROKUROKU』、自分が監督した短編ホラー『カタカタ』、どれも同じワールドの物語ですが、偶然すべてバッドエンドになってます。特にバッドエンドにしようと狙ったわけではありません。
ーー“ホラー”というジャンルにしかできない表現方法の醍醐味はなんでしょうか。
雨宮:ホラーにしかできない表現は多岐にわたりますが、醍醐味はなんといっても怖さの表現だと思います。今回は亡霊でなく妖怪です。亡霊の表現では難しいケレン味が出来るのが妖怪です。怖いけどキレイ、怖いけど滑稽。そんな多様な怖さの表現にチャレンジできたと思います。
ーーこの作品に込めた思い、メッセージを教えてください。
雨宮:便利な物に囲まれて欲しい情報が瞬時に手に入るようになりました。もう怪異がはびこる隙がなさそうな時代ですが、それでも得体の知れないモノたちはいます。でもそれらに対峙する勇気は超人ではない普通の人の中にもあるんだと信じています。
(取材・文:石井達也)
■公開情報
『ROKUROKU』
1月27日(土)より、新宿 K's cinemaほか全国順次ロードショー
原作・総監督:雨宮慶太
監督:山口雄大
出演:中西美帆、志保、野本かりあ、遠山景織子、いしだ壱成、マキタスポーツ、駿河太郎、仁科貴、落合モトキ、朝倉えりか、岩佐真悠子、佐々木心音、妄想キャリブレーション、螢雪次朗、伊藤かずえ、ミッキー・カーチス
配給:キュー・テック
(c)2014 雨宮慶太/ロクロク製作委員会
公式サイト:http://rokuroku.rgr.jp/