健太郎×佐田正樹が語る、『デメキン』への情熱 健太郎「今思うとあれはガチ喧嘩でした(笑)」

健太郎×佐田正樹『デメキン』対談

■健太郎「リアルな言葉を聞けたからこそ、生まれた感情や表情がある」

――健太郎さんが佐田さんの役(正樹)を演じていますが、佐田さんから健太郎さんにアドバイスしたことは?

佐田:方言と喧嘩でがなる(怒鳴る)時くらいですかね。「ああん? ゴラァ! 貴様コノ!」っていう。

ーー方言は苦労しましたか?

健太郎:そうですね。日常生活で博多弁を使うことや耳にすることが、あまりなかったので……。事前に方言でのセリフが入ったCDをいただいたので、それを聞いたり、佐田さんや方言指導の方に教えていただいたりしていました。ヨージ役の田中偉登くんは大阪の出身なので、微妙なニュアンスが大阪弁に引っ張られて苦労していました。やっぱり方言が違うと物語も入ってこないと思うので、なるべく忠実に再現できるように心がけました。

佐田:健太郎の方言、よかったですよ。僕は地元が舞台になっている映画とかドラマを観た時に、たまに「全然違うじゃん。関西弁なんやけどな」って思うことがあって、それが嫌だったので、監督と一緒に方言には力を入れましたね。

健太郎:方言だけでなく、僕は当時のことを佐田さんから直接お話を聞けたことが、とても参考になりました。やっぱり、本で書かれている以上の感情があったと思うので。たとえば、大八くん(黒石高大)との出会いのシーン。実際のあの時のことを佐田さんは「オーラが半端なく、鬼を見ている感じだった」とおっしゃっていて、そういう言葉をお聞きすることで、僕はより一層正樹になれると言いますか、気持ちが盛り上がっていきました。アキ(今田美桜)から厚成(山田裕貴)の過去や今を聞くシーンも、最初に台本を読んだ時は、自分の中で最大限の感情を持っていこうと思っていたのですが、佐田さんから当時のお話を聞くうちに、それをさらに飛び越えた感情が自分の中に芽生えました。リアルな言葉を聞けたからこそ、生まれた感情や表情はたくさんあります。

――感情の表現で言うと、福岡連合の二代目総長に正樹が決まった時、初代総長の大八から特攻服を渡されて羽織るシーンが印象的でした。

佐田:健太郎が一番好きなシーンですよ。

健太郎:大好きなシーンです。あのシーンは物語の中でも、ターニングポイントの一つです。前に出て特攻服を受け取ってバッと後ろを振り向いた時に、最初に厚成が目に入りました。総長になった正樹を見て、ちょっと泣きそうになりながらも、素直に喜んでいるんですよ。それを見て、本当に嬉しくなって、胸が熱くなりました。厚成は負けず嫌いですし、いつも正樹と競い合っていたから、自分が総長になりたかったっていう悔しい気持ちも絶対にあるはずなのに。厚成や幻影のメンバーをはじめ、自分がこれから背負っていかなければいけない仲間たちがそこに並んでいて、ここにいるみんなのために頑張らなきゃという気持ちになりました。自分自身が正樹と完全にリンクした瞬間でした。

――印象的なシーンで言うと、野性爆弾くっきーさんが登場するシーンは強烈でした。あのシーンはアドリブなのでしょうか?

佐田:アドリブですね。どういうのがいいですか? って聞いたら、くっきーさんが「もう、一回で撮りたいな」って言うから、監督にお願いして、どれくらい動くかだけを伝えて引きで撮ったんです。撮ったのを確認しながら、「ここ使います。さっきのセリフもう一回お願いします」っていう感じで、似たようなシーンを何回か撮影しました。健太郎が笑っちゃってNGになったのもありましたね(笑)。

健太郎:あれは笑わないでいるのがキツかったです……。これまでの役者史上、最も辛いシーンでした。

佐田:セリフがないから、くっきーさんが何を言い出すかわからないんですよ。

健太郎:テスト、ドライ、本番で毎回違うことをされるので、対処法がわからなくて……。あらかじめ用意していても何の意味もなくて、構えれば構えるほど面白くなってきちゃうんですよ。本当にもう意味がわからなかったです(笑)。眼鏡を急に変えたり、「きったないな」とか言い出したり、保健所が何だとか喚き出したり……どうしていいかわからなくなっちゃって(笑)。

――くっきーさん以外の山田(裕貴)さんや健太郎さんのセリフもなかったのですか?

佐田:全部アドリブです。

健太郎:山田さんも「俺もうキツイから健太郎に任せた」って言って、「ちょっと」とか以外はずっと喋らないんですよ。俺かよ! と思いながら必死に笑うのを堪えて模索していました。本当に面白くて大変でした(笑)。

――山田さん演じる厚成と健太郎さん演じる正樹の熱い友情も、本作の見どころの一つだと思いました。二人の関係性を作り上げていく上で、山田さんとは話し合ったのでしょうか?

健太郎:あえて話し合うことはしなかったです。接していく中で自然に関係性を築き上げていけました。撮影期間が二週間しかなかったので、結構なスピードでグッと距離を縮めさせていただきました。実際は山田さんと年の差が7歳あるので、自分からグイグイいくのも失礼かなと思い迷っていたら、山田さんの方から来てくださって、正樹と厚成のような仲になっていきました。そんな僕たちの関係性が周りにも伝染していき、みんなの仲も深まっていった感じです。あの仲間の雰囲気を作り上げられたのは、本当に山田さんのおかげです。

――実際の関係性も似ているのですね。

健太郎:そうですね。同世代が多いということもあって、撮影の合間もずっとあの感じでした。いつカメラが回っても大丈夫なくらいの雰囲気で過ごしていました。

――登場人物すべて実在している方の名前を使用しているとのことですが、実際の厚成さんとの関係性も本作で描かれている感じなのでしょうか?

佐田:はい、今でも張り合ってます(笑)。ラーメンの替え玉もゲロ吐くまで食うんですよ。一度12杯くらいで吐いたことあります。その当時まだ、ラーメン一杯350円で、替え玉も50円だったので。“小太郎”っていうラーメン屋にいつも食べに行ってたんですが、そこで替え玉どれくらい食うか競い合ってましたね。小学校の時に出会ってから、彼とはずっとそんな感じの関係です。

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