櫻井翔『先に生まれただけの僕』モヤモヤ展開に? 「学校改革」の弊害が見え始めた第7話

 そこに付随するように、ネット掲示板での誹謗中傷など、デジタルネイティブである生徒たちの周りに渦巻く現代的な課題。そして、生徒の1人が突然口走る「自殺はダメなのか」という、非常に深い問題。さらに、前回から伏線のように張り巡らされていた、鳴海と松原(多部未華子)、真柴(蒼井優)と島津(瀬戸康史)の四角関係の流れや、加賀谷(高嶋政伸)の家族のくだり。

 また、加賀谷が後藤田(平山浩行)を仕向けて鳴海と松原を引き裂こうとする思惑などもそこに重なって行く。前回に引き続き登場した、松原と柏木が駅前でばったり会って甘味処でユーモラスなやり取りをするという流れが、緩急を付ける役割を果たそうとしているだけに、なおさら全体が整理されていて欲しいところだ。

 現行のテレビドラマの放送枠が10話前後になってしまい、否が応でも詰め込まざるを得なくなっているのかもしれないが、この第7話に詰め込んだエピソードは、もう少し時間を掛けてじっくりと描いた方が、よりそのテーマ性を浮かび上げ、このドラマ全体の鍵となるエピソードにできたのではないだろうか。今回のモヤモヤを、上手にまとめあげるような展開を期待したい。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『先に生まれただけの僕』
毎週土曜日よる10時~
出演:櫻井翔、蒼井優、瀬戸康史、木南晴夏、森川葵、平山浩行、池田鉄洋、木下ほうか、多部未華子、井川遥、荒川良々、秋山菜津子、高嶋政伸、風間杜夫
脚本:福田靖
音楽:平野義久
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:次屋尚、高橋史典(ケイファクトリー)
演出:水田伸生 ほか
制作協力:ケイファクトリー
制作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/sakiboku/

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