『夜明けの祈り』主演ルー・ドゥ・ラージュ インタビュー「ポーランドが大きな助けになった」

「自分を極限まで追い詰められる挑戦的なことにチャレンジしていきたい」

ーー今回の作品は、女性の物語で、監督も女性、そして撮影監督も女性ですね。ジャック・リヴェット、ジャン=リュック・ゴダール、ジャック・ドワイヨン、レオス・カラックスなど名だたるフランスの名監督たちの撮影を担当してきたカロリーヌ・シャンプティエとの仕事はどうでしたか?

ドゥ・ラージュ:撮影監督と監督はかなり強力なタッグを組むものだと思っています。カロリーヌもそうで、かなり密接にアンヌとコミュニケーションをとりながら、お互いの認識を確認し合っていました。彼女の存在はもともと知っていましたが、実際に一緒に仕事をしてみて、本当にすごい存在なんだということがわかりました。映画というよりは絵画を撮っているような印象でした。これだけの名監督たちが彼女を指名するのも当然のことだなと思います。光の透明感や感覚は彼女にしか生み出せないものでしたね。男性的な社会の中で闘ってきた、貫禄のある女性撮影監督だと思います。

ーーちなみにあなた自身はどのよう映画から影響を受けているんですか?

ドゥ・ラージュ:最近だとジム・ジャームッシュの映画が好きですね。フランスではマイウェンやエマニュエル・ベルコの作品が好きです。でも1番最初に映画を観て感動したのは『七人の侍』だったんです。ジャン・コクトーやヌーヴェールヴァーグの作品も大好きです。

ーーそもそも女優になろうと思ったきっかけは何だったんでしょう?

ドゥ・ラージュ:本当に小さい頃から女優になりたかったんです。自分でもなぜ“女優”だったのかはよく覚えていないのですが、両親には「いつか女優になりたい」ということを言い続けていたんです。両親はあまり肯定的ではなかったのですが、私があまりにも「女優になりたい」と言い続けたため、彼らも根負けして、10歳の頃に私を劇団に入れてくれたんです。そこから実際に女優の仕事ができるようになって、夢は決して幻想ではなかった、やっぱり私はこれがやりたかったんだと確信を持つようになりました。

ーーメラニー・ロランもそうですが、ハリウッドで活躍するフランス人女優も増えていますよね。ハリウッド映画に出てみたいなど、今後の目標はありますか?

ドゥ・ラージュ:自分に目標があったらいろいろ楽だなと思います。それほど自分には、こういうジャンルの映画をやりたいとか、この監督の作品に出たいという願望がないんです。ただ、女優という仕事はもうそれだけで人間的な冒険なので、結局どのような出会いがあるかだと思うんです。それはフランスにもアメリカにも、もちろん日本にも可能性はあるので、今後どのような出会いがあるかですね。ただひとつハッキリと言えるのは、自分自身が「こんな役はやりたくない」と思えるぐらい、自分を極限まで追い詰められる挑戦的なことに常にチャレンジしていきたいです。

(取材・文・写真=宮川翔)

■公開情報
『夜明けの祈り』
8月5日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・翻案:アンヌ・フォンテーヌ
製作:エリック・アルトメイヤー、ニコラス・アルトメイヤー
音楽:グレゴワール・エッツェル
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
出演:ルー・ドゥ・ラージュ、アガタ・ブゼク、アガタ・クレシャ
2016年/フランス=ポーランド/フランス語、ポーランド語、ロシア語/115分/アメリカンビスタ/カラー/音声5.1ch/原題:Les Innocentes/日本語字幕:丸山垂穂
提供:ニューセレクト、ロングライド
配給:ロングライド
後援:アンスティチュ・フランセ日本/フランス大使館
協力:ユニフランス
(c)2015 MANDARIN CINEMA AEROPLAN FILM MARS FILMS FRANCE 2 CINEMA SCOPE PICTURES
公式サイト:yoake-inori.com

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