『過保護のカホコ』竹内涼真が再び直面した“生きる世界が違う”問題 高畑充希は彼を救い出せるのか
「私、こんなの初めて」という、加穂子(高畑充希)のセリフから、『過保護のカホコ』(日本テレビ系)はラスト5分間で物語が急激に動き出す。祖母である初代(三田佳子)が心筋症にかかり、いつ死んでもおかしくない状態になってしまったことを知った加穂子は、初(竹内涼真)に「子供作ろう! 初くん!」「加穂子と結婚する気ないの?」と必死にせがむ。“家族”の価値観が違う加穂子と初。加穂子の「家族がいないから加穂子のことは分からないんだよ」という言葉に、初は現実を知り「俺たち、生きる世界が違うんだよ。付き合うのやめよう」と別れを選ぶ。現実を乗り越えてきた2人に切ない恋の終わりがやってきた。
泉(黒木瞳)と正高(時任三郎)の過保護の元に育てられた加穂子と、家族に捨てられ親の愛を知らずに育ってきた初。初との交際を否定した際に、泉が彼に言い放った「生きる世界が違う」というセリフは、まさに核心を突いた、2人が乗り越えていかないといけない問題である。言ってしまえば、「家族がいないから加穂子のことは分からないんだよ」という加穂子も、まだ初のことを本当に分かってあげられているとはいえない。
今回のストーリーで、親戚の糸(久保田紗友)の誕生日会開催に向けて尽力する加穂子の姿は、素晴らしいものだった。しかし、加穂子の頑張りの陰にはいつも初の姿があることを忘れてはならない。初は一人で生きてきた分、人の価値観に縛られない、自分の言葉をいつも持っている。自分の生き方に悩み非行に走る糸には「どんなに酷いことをしても最後には許してもらえるって、お前家族をなめてんだよ。違うか?」と彼女を言い聞かせてきた。反対に、初に足りないのは家族の愛を知ることだ。糸の誕生会に参加する流れになった初は、親戚一同が揃う中、両親は亡くなっていると嘘をつく。父親が亡くなっていることは真実だが、自分を捨てた母親の話になると、加穂子にも一切話そうとしないのが彼のうしろめたいところでもある。