『過保護のカホコ』高畑充希は異色のスーパーヒロインだ 愛と毒に溢れた作品の魅力を考察

 とはいえ遊川脚本のことだ。6話の予告から伝わる、意表をつくほど加穂子に夢中な麦野の様子をこのまますんなりと受け入れていいのだろうか。加穂子もまた、麦野と会って成長し自立しようとしてはいるが、「ママが、ママが」と常に主語が「ママ」だった状態から、常に主語が「麦野くん(または初くん)」へ変わりつつあるところに、彼女の母親ではないが、若干の違和を感じなくもない。

 オープニングに示される加穂子の扮装は赤ちゃん、幼稚園児、小学生、中学生といった風に、回を重ねるごとに成長している。母親の言うとおりのお人形だった彼女が自我を持ち、急速に成長していくとともに、彼女はたくさんの普遍的な疑問を私たちに投げかけてくる。「何のために働いているの?」「どうして2人は結婚したの?」「人はなぜ恋をするの?」「家族って?」。真っ白な彼女が向き合うのは、現代社会の様々な問題を抱え、一癖も二癖もある、愛をこじらせた曲者たちだ。この異色のスーパーヒロインの動向が、見逃せない。

■藤原奈緒
1992年生まれ。大分県在住の書店員。「映画芸術」などに寄稿。

■放送情報
『過保護のカホコ』
日本テレビ系にて毎週水曜夜10時~
出演:高畑充希、黒木瞳、竹内涼真、佐藤二朗、中島ひろ子、梅沢昌代、濱田マリ、夙川アトム、西尾まり、久保田紗友、三田佳子、西岡德馬、平泉成、時任三郎
脚本:遊川和彦
音楽:平井真美子
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:大平太、田上リサ
演出:南雲聖一、日暮謙、伊藤彰記、明石広人
制作協力:5年D組
製作著作:日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/kahogo-kahoko/

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