『ウォー・マシーン』監督が語る、俳優・製作者ブラッド・ピットの魅力 「数少ない本物のスター」

「Netflixは僕たちフィルムメーカーの大きな希望になる」

ーーブラッド・ピットの役作りはどうでしたか?

ミショッド:僕自身、以前からブラッドの演技を観るのは大好きだった。彼は映画の世界ではビッグスターだけど、リスクを負うことを決して恐れない、数少ない本物のスターのひとりだと思う。映画スターの中には、ある程度その名を馳せることができたら他はもう何もやらないというような人もいるけれど、ブラッドはそうではない。演じる役柄に対して、心の底から自分の身を預けて、今回のような難しい役にも果敢に挑戦する。監督としては、そういう役者の姿勢はとても力になるし、一緒に仕事をしていてワクワクするんだ。

ーーグレン・マクマホン将軍はコメディ色の強いキャラクターになっていましたね。

ミショッド:僕はコメディを演じている時の彼が特に大好きなんだ。これまで彼は脇役でコメディ色の強い役柄を演じることが多かったけど、今回は主役として、全編を通してその役回りを担ってもらいたかった。その結果、あのような強烈なインパクトのあるキャラクターになったんだ。

ーーブラッド・ピットは主演だけでなく製作も担当していますね。

ミショッド:ブラッドは製作者としても大きな役割を果たしてくれた。非常に複雑でチャレンジングな作品だったにもかかわらず、僕が必要としているスペースを作ってくれたんだ。彼の制作会社プランBは常にフィルムメーカーたちの持っているビジョンを支持しながら、いい作品を多数手がけている。今のハリウッドのスタジオ環境ではなかなか制作するのが難しいような作品で成功を収めているのも素晴らしいことだよね。

ーー今回の作品はNetflixともタッグを組んでいます。劇場公開のないSVOD配信についてのあなたの考えを教えてください。

ミショッド:Netflixは、僕たちフィルムメーカーにとって素晴らしい窓口となってくれる存在だと思う。作りたい作品を作らせてもらえる貴重な機会を与えてくれるし、特に僕の作品は今のハリウッドのスタジオ体制には向いていないからね。『ウォー・マシーン』のようなチャレンジングな企画をはじめ、オリジナルで珍しい作品であっても、潤沢な予算で映画を撮ることができるのがNetflixの強みと言える。それに、僕の過去2作、『アニマル・キングダム』と『奪還者』は劇場でも上映されたけど、全鑑賞者の9割は自宅で鑑賞したんじゃないかな。もちろん劇場には劇場の良さがあるけれど、僕自身も自宅で映画を観ることがほとんどだからね。どんな上映形態であれ作品は観ること自体に違いはないし、作品はその人の中で生き続けるわけだから。本当に作りたい作品を作ることができるNetflixのような存在は、今後も僕たちフィルムメーカーの大きな希望になると思うよ。

(取材・文=宮川翔)

■配信情報
Netflixオリジナル映画『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』
Netflixにて配信中
出演:ブラッド・ピット、ティルダ・スウィントン、ベン・キングスレー
監督:デヴィッド・ミショッド
Netflix:https://www.netflix.com/jp/

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