板尾創路が語る、映画『火花』撮影の裏側 「菅田将暉は引き算の役者、桐谷健太は足し算の役者」

板尾創路が語る映画『火花』の裏側

「キャスティングも、今回は僕ひとりで決められるものではなかったです。しかし、紆余曲折がありながらも、ほかのキャスティングは考えられないほど、最高のふたりが揃ってくれたと思っています。決まるべくして決まったというか、運命のようなものを感じましたね。撮り終えてから言うのもなんですが、本当にふたりはぴったりと役にハマっていて、きっと最初からこうなることが決まっていたんだなと」

 実際、ふたりのコンビネーションには素晴らしいものがあったそうだ。

「ふたりの役者としてのスタンスは正反対で、菅田将暉はどちらかというと引き算の役者、桐谷健太は足し算の役者なんです。どちらが正解というわけではなく、マイナスとプラスのコンビネーションで、その関係性に躍動感が生まれていました。ご存知のように、彼らはCMでも共演していて、ともに関西出身です。そのため、自然と徳永と神谷の関係性ができあがっていました。お芝居をしていることを忘れさせるくらい違和感がなく、物語の中に出てくる徳永と神谷がそのままいるようでした」

 ところで板尾監督は、自身も俳優として多くのドラマ・映画に出演してきた。その経験は、監督業にどう活かされたのだろうか?

「俳優の気持ちがよくわかるのは、監督をする上でも役に立っていると思います。どうすれば役者が現場に居やすくなるのか、経験的に知っているんですよ。役者が所属する俳優部は、制作現場の各部署の一部であって、特別扱いする必要はないんです。役者だけが頑張れば良い映画が作れるかというと、そんなことは全然ないわけですから。各部署が協力しあって、みんなで一枚の写真を作るように、ワンカットを作り上げていく。ひとつの“組”として機能して、はじめて良い現場になるわけです。だから僕は、そういう環境になるようには気を使いました。逆に、僕が一番嫌なのは、役者が我を出しすぎて『ここは俺のシーンなんだ、俺の芝居で表現するんだ』となってしまう現場。そういう雰囲気になると、作品自体がダメになってしまう。もちろん、今回の主演のふたりは現場のことをよくわかっているし、そんなことをするタイプではないのですが、僕らが努めてフラットに接することで、よりリラックスした中で演じてもらうことができたのではないかと。同じ弁当を食べて、同じ時間に起きて、同じ時間まで撮影をする。振り返ると、純粋な映画作りをすることができたなと思います」

 そんな板尾監督が、もっとも影響を受けた映画監督は誰だろう。

「もともとドラマや映画が大好きなので、すごくいっぱい居ますけれど、強いてひとり挙げるとしたらスタンリー・キューブリックかな。画作りへの徹底したこだわりやスケール感には、敬意を払わずにはいられません。観た瞬間、すごくワクワクさせられるんですよね。もちろん、お会いしたことはないし、あの人みたいな映画をいつかは作りたいなんて、おこがましくて言えないですけれど(笑)。感性的には大きな影響を受けているけれど、永遠の憧れといった方が近いかもしれませんね」

(取材・文=松田広宣)

■公開情報
『火花』
11月23日公開
(C)2017『火花』製作委員会

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