芦田愛菜はやはり天才だったーー『山田孝之のカンヌ映画祭』で示す“子役”からの進化

 山田プロデュース映画『穢の森』は、脚本をつくらないと山田が強引に決定。漫画家・長尾謙一郎に依頼し、ニュアンスだけを伝えて描いてもらった“絵”から感じ取ったもので撮影を行うという。この無茶な要望に困惑するスタッフたち。特に山下監督は戸惑いの表情を見せた。芦田もここから演技を自分で考えなければいけないのだから動揺を隠せない。今になって見ると、受験を控えて勉強が忙しかった時期に、難しいことを考えさせないであげてとも思う。しかしとにかく、映画作りが本格的にスタートしたのだ。

 この番組は全く先が読めない。どこに皮肉めいたトラップが仕掛けられているのか、最後まで見ないとわからないので、人によって感想は様々だろう。河瀬監督や有村などのセリフは、彼らが実際に言いそうなことだ。これはあくまでもドキュメンタリードラマなのだが、どこまでが演出かわからない。むしろそれを忘れさせるところがこの番組の驚異的なところ。それを踏まえると自然に振る舞う芦田は、やはりプロフェッショナルだと言える……と思うのも、山田の掌の上なのかも知れない。

 

(文=本 手)

■公開情報
『山田孝之のカンヌ映画祭』
毎週金曜 深夜0時52分〜
出演:山田孝之、芦田愛菜、ほか
監督:山下敦弘、松江哲明
構成:竹村武司
(c)「山田孝之のカンヌ映画祭」製作委員会
公式サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/yamada_cannes/

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