中村倫也が語る、役者としてのスタンスと福田組との共演「死ぬまで新しい何かに挑み続けたい」

中村倫也、役者としてのターニングポイント

「周りの予想を裏切ることをやりたくなる」

ーー中村さんは、2005年に公開された映画『七人の弔(しちにんのとむらい)』でデビューして以来、10年以上キャリアを積んでいます。役者としてのスタンスを決定付けたターニングポイントは?

中村:ターニングポイントになった作品は沢山あります。その中でも、舞台『真心一座 身も心も 流れ姉妹~獣たちの夜~』(2009年)は思い出深いです。それまでは、アカデミックな作品に出演させていただくことが多かったのですが、この舞台で初めて小劇場の方たちとやらせていただきました。当時22歳だったのですが、こんなにクレイジーで魅力的な世界があるのかと衝撃を受けましたね。同時に、この世界で生きる面白い先輩方といっぱい仕事がしたいと感じました。たとえば、15センチしかない段差を上がるという芝居で、求められてもいないのに1メートルくらいジャンプして飛び越えようとするんですよ。意味はないのですが、ただそこにある熱量だけは伝わってくるような……そんな芝居は今までに見たことがなかったのでカルチャーショックでした。演技に対する考え方や視野が広がりましたね。

 あとは、『ロッキーホラーショー』(2011年)というミュージカル。コメディー調のストーリーなのですが、観に来てくださったお客さんたちが、ラストは感動して泣くんですよ。その光景を見た時、感動させようと思って作品を作らなくても、お客さんは感動するんだと気付きました。逆に、浅はかに感動させようとすることが愚かであり、お客さんの可能性を奪うんだな、と。それまでは、作品のイメージをきちんと固めた上で、キャラクターを構築していったのですが、そんなに肩肘張らなくてもちゃんとお客さんは観てくれるんですよね。こちらが一方的にこのシーンはこうだからと押し付けるのは、お客さん含め僕ら自身の選択肢や想像力も狭めてしまうんだなと勉強になりました。役者として新しい世界が広がりましたね。

ーー『スーパーサラリーマン左江内氏』でも、その教訓は活かされていると。

中村:そうですね。そもそも福田さんの作品は常識にとらわれない自由さがあるので、ほかの作品ではできないようなことも率先して試してます。やっぱり僕たち役者側が作品を楽しまないと、視聴者も楽しめないと思うので。“笑い”は反応が明確なので、演じることが楽しいか怖いかで言ったら、怖いという感情の方が強いし、使命感みたいなものがあります。でも、作品を提供するからには、精一杯楽しもうと自分に喝を入れてますね。でも、コメディーよりも真面目な作品ほど、アドリブを入れたくなります。真面目でシリアスな作品は、ちょっとハズすだけでもすぐに笑いになるんですよ。もちろん、そういうことができる作品は限られていますが、シリアスな作品であればあるほど、予想に反した演技に挑戦したくなります。天邪鬼なんです、僕。周りの予想を裏切ることをやりたくなると言うか、台本を読むときも物語の裏側を捉えようとする性質があります。『左江内氏』でも、これからの作品でも良い意味で視聴者のことを裏切っていきたいですね。

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(取材・文=戸塚安友奈 写真=泉夏音)

■番組情報
『スーパーサラリーマン左江内氏』
毎週土曜日よる9時00分~
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/saenai/

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