人気絶頂の星野源、魅力は“こじらせ男のかわいさ”にアリ? 『逃げ恥』津崎役から考察

人気絶頂の星野源、魅力は“こじらせ男のかわいさ”にアリ? 『逃げ恥』津崎役から考察

 とはいえ、最大の魅力はやはり主演のガッキーと星野源の存在感だろう。サブカル層から一般層へと人気を拡大しつつある星野と、20代後半に入り今までとは違う魅力が開花しつつあるガッキー、そんな旬の二人が共演したことで本作の面白さは倍増している。恋愛ドラマは主演俳優を盛り上げるために、片方が引き立て役になってしまうことが多いものだが、『逃げ恥』はガッキーが見たい男性ファンにとっても星野源が見たい女性ファンにとっても楽しめるものとなっている。こういうキャスティングは滅多にできるものではない。その結果、男女双方のファンがついていることが、『逃げ恥』の強さだろう。

 ガッキ-が演じる森山みくりは、大学院を出たが就職できずに派遣社員として働いていたが派遣切りにあってしまう。淡々と描かれてはいるが、みくりが置かれている状況はかなり過酷で、その姿は痛々しいものがある。漫画では海野つなみの白くて記号的な絵柄によって、深刻さが薄められていたが、ドラマ版ではガッキーのふわっとした振る舞いが、痛々しさを中和している。

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 一方、星野源が演じる津崎には、雇用主でありながらも、どこか頼りなく、それが母性本能をくすぐるかわいらしさにつながっている。津崎は恋愛経験がなく、他人が自分の生活圏に入ってくることを嫌っているタイプだ。

  『電車男』(フジテレビ系)や『モテキ』(テレビ東京系)など、モテない自意識過剰な男性を主人公にした恋愛ドラマが、00年代以降増えており、星野源は『モテキ』の主人公・藤本幸世のモデルとしても知られている。『モテキ』では、モテない男性の心理を露悪的に描いていたが、『逃げ恥』では、男性のこじらせた内面をかわいいものとして取り扱っており、そこに時代の変化を感じる。そんな自意識過剰な津崎のかわいさを、星野は見事に演じきっている。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■番組情報
『逃げるは恥だが役に立つ』
毎週火曜日よる10時〜
製作著作:TBS
原作:海野つなみ「逃げるは恥だが役に立つ」(講談社“Kiss”にて連載中)
脚本:野木亜紀子
プロデューサー:那須田淳、峠田浩、宮﨑真佐子
演出:金子文紀、土井裕泰、石井康晴
(c)TBS

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