角替和枝、デニス植野行雄、武田梨奈ーーゲスト出演者が見事ハマった『侠飯』第4話を振り返る

 ヤクザの抗争に巻き込まれてしまったことにより、ヤクザの組長・柳刃を自宅アパートに匿うことになった大学生の良太が、その柳刃になぜか絶品の料理を振舞われる模様を描いたドラマ『侠飯〜おとこめし〜』。先々週に放送された第4話(先週はオリンピック中継のため休止)では、第1話で出版社の面接官役として登場した木下ほうか以来となるゲスト出演者が登場し、話題となった。大家役の角替和枝、カルロス役の植野行雄(デニス)、一日警察署長役の武田梨奈の3名である。配役が見事にハマったこの3名のゲスト出演者について、改めて振り返ってみたい。

 柄本時生演じる良太が住むアパートの大家役として登場した角替は、言うまでもないが、柄本明の妻であり、柄本佑と柄本時生の母親だ。角替と時生の2人はこれまで、親子役で共演したNHKの連続テレビ小説『おひさま』(2011年)や、同じテレビ東京系の深夜ドラマ『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』(2015年)など、過去にも共演したことは何度かあったが、今回は“共演シーンのない親子共演”を果たしたのである。角替演じるアパートの大家は、良太が不在の際に良太宅を訪れ、良太のおじだと名乗る柳刃と初対面を果たした。登場シーンこそ少なかったものの、友人からもらったという特売肉の売れ残りを押し付ける大家さんという、なさそうでありそうな役柄をベテランらしく見事に演じきって存在感を残した。ゲスト出演ということで望みは薄そうだが、大家と住人役での親子共演を期待したくなるような、見事なキャスティングだったと言えるだろう。

 デニスの植野は、怪しげな雑貨店のブラジル人店員カルロスを熱演。柳刃の使いでやってきた良太に、白い粉が入った荷物を渡すという謎のブラジル人に扮した植野は、大声で叫び散らしながら片言の日本語を披露。その姿は、彼にとっての映画初出演作となった『日本で一番悪い奴ら』を彷彿とさせるものがあったが、放送後、同ドラマの濱谷晃一プロデューサーもTwitterで「日本で一番悪い奴らからのインスパイアです」と明かしていた。植野は、“片言の日本語を話す外国人役”として、その地位を築きつつあるかもしれない。

 武田は、1日警察署長を務める本人役で登場。カルロスから受け取った謎の白い粉(危険ドラッグと思いきや、実は料理に必要な岩塩)をカバンの中に隠し持った良太は、友人たちと就職説明会に向かう途中で、暴力団排除キャンペーンを行っている武田に遭遇する。白い粉をドラッグだと思い込んでいる良太は、武田や警察官たちを前に、冷や汗を流し、体を震えさせるなど、あからさまに怪しまれるような様子を見せる。そこで、武田は「危険ドラッグなんかやってたら逮捕しちゃうぞ!」の一言ともに、彼女の代名詞とも言えるアクション、見事な“蹴り”を披露するのである。良太の顔すれすれで足を止め、笑顔で微笑むという演出を含め、まさに“ゲスト出演”と言える、視聴者の期待に応えてくれる演技を武田は見せてくれた。

関連記事