島崎遥香は霊にも“塩対応”だった? 『ホーンテッド・キャンパス』で見せた無色透明の演技
中山優馬といえば、2008年のNHKドラマ『バッテリー』で主演デビューを飾った時にはジャニーズ俳優としての将来性を感じさせられたが、その後なかなか作品に恵まれている印象はなかった。とはいえ、出演するなら主演かゲスト出演のどちらかという時期に比べると、事務所の先輩である香取慎吾主演のドラマ『SMOKING GUN〜決定的証拠〜』などで見せた脇を固める演技も身に付いてきているあたり、着々と成長してきているようだ。
最近は舞台での演技も増えてきている一方で、音楽活動も精力的に行っている。今後演技か音楽かのどちらかを活動の中心に選んだとしても、どちらでも問題なくこなせるだけのポテンシャルの高さを感じる。個人的には、今年春にスクリーンデビューを果たした『関西ジャニーズJr.の目指せ♪ドリームステージ!』での役柄のように、舞台俳優を目指して邁進していくことを期待している。
そんな彼のホラー演技といえば、やはり2011年に放送された『ほんとにあった怖い話』の「奇怪な最終バス」のエピソードだろう。この作品でもまた、部活帰りのバスで予期せず幽霊の姿が見えてしまう役どころであった。今回の『ホーンテッド・キャンパス』では、霊の対処まで行えるようになるのだが、はじめはただ見えているだけの幽霊にあくせくしている姿を見せるだけに、この5年前の短編のことを思い出すと何だかとても面白く見えてくるのだ。
ジャニーズとAKBの共演作というと、島崎遥香の出演作でもある『私立バカレア学園』のようにファン層を重点的に狙ったような作品のイメージで、どうしても敬遠されがちだが、本作は主演二人のアイドル性と個性を存分に活かした正統派アイドル映画として評価できよう。もちろん、オカルト研究会の部長役で出演しているLove-tuneの安井謙太郎の体を張ったコミカルな演技も忘れてはならない。
■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter
■作品情報
『ホーンテッド・キャンパス』
公開中
監督:竹本聡志
原作:櫛木理宇
脚本:徳尾浩司
製作:田中総一郎、横澤良雄
出演:中山優馬、島崎遥香、大野拓朗、高橋メアリージュン、安井謙太郎
配給:松竹
公式サイト:http://eiga.com/movie/83400/