脚本家・演出家/登米裕一の日常的演技論
門脇麦の“もどかしさ”はなぜ人を惹きつける? 若手演出家が『二重生活』の演技を考察
思っている事を上手く口に出せないといって嘆く人がいます。そして、そんな自分が嫌で違う自分になりたいという理由から、役者を志望している人にたまに出会います。そう言う人にはまず、程よく自己肯定をしてもらいます。ダメなところを隠すのが役者の仕事ではなく、ダメなところを見せるのが役者の仕事です、と。そもそも、それはダメなところではなく、魅力なのだと言う風に考え直してみませんか、と提案します。
役者に限らず、“思っている事を口に出来ない人”は、それも自分の魅力なのだと気付くと良いのではないかと思います。自分のダメなところを一番否定しているのは、結局のところ、自分自身だったりするものです。仮に自信を持たないまでも、「まあいいや」と受け流すくらいでちょうど良いのではないでしょうか。難しいですけれどね。
■登米裕一
脚本家・演出家。映画『くちびるに歌を』CX『おわらないものがたり』NHK『謎解きLIVEシリーズ』などの脚本を担当。大学時代に旗揚げをした劇団『キリンバズウカ』の主宰も務める。個性豊かな登場人物たちによる軽快な会話の応酬を持ち味としており、若手作家の躍進著しい演劇界の中でも、大きな注目を集める。また演技指導家としても評価を得ており、現在多くのワークショップ依頼を受けている。
■公開情報
『二重生活』
6月25日(土)新宿ピカデリーほか全国公開
監督・脚本:岸善幸
音楽:岩代太郎
原作:小池真理子「二重生活」(角川文庫刊)
出演:門脇麦、長谷川博己、菅田将暉、河井青葉、篠原ゆき子、西田尚美、烏丸せつこ、リリー・フランキー
2015年/日本/カラー/126分/16:9/デジタル5.1ch/R15+
製作・配給:スターサンズ
配給協力:コピアポア・フィルム
(c)2015『二重生活』フィルムバートナーズ
公式サイト:nijuuseikatsu.jp