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『バットマン vs スーパーマン』賛否両論を巻き起こした要因は? DCコミックスの狙いと裏テーマを考察

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 最大の人気を誇るアメコミヒーロー、スーパーマンとバットマン。彼らがとうとう対峙し、拳を交える。アメコミ映画ファンならずとも興味を惹かれる「世紀の対決」を描くのが『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』だ。本作は批評家や映画ファン、コアなアメコミファンなどで賛否両論を巻き起こしている話題作だ。今回は、そのように意見が分かれる状況や、両者の対決の裏に潜むテーマについて考えていきたい。

 アメコミ(アメリカン・コミック) 出版社の二大巨塔といえば、スーパーマンやバットマン、 ワンダーウーマンなどの権利を持つDCコミックス、 スパイダーマンやキャプテンアメリカ、アイアンマンなどの権利を持つマーベルコミックスだ。それぞれの人気作品は、今までに何度も実写映画化されてきた。近年、サム・ライミ監督の『スパイダーマン』の成功、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』の成功など、優れた作品によって、それぞれのアメコミヒーロー映画は相乗的に人気を増していった。

 そのようなアメコミ映画追い風の状況で、マーベル・スタジオは、異なるコミック作品がクロス・オーバーした世界を、実写映画でも応用して描いていくという壮大な企画「マーベル・シネマティック・ユニバース」を展開した。この企画の商業的成功に対し、DCコミックスが同様の企画で対抗しようというのが、本作『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』の第一の狙いだろう。スーパーマンとバットマンという、DCコミックスの二枚看板を対決させ、そこからDCコミックスにおけるクロスオーバー世界「DCユニバース」の映画版である、正式名称「DCエクステンディッド・ユニバース」に繋げようというのである。そこで今後描かれていくのはもちろん、DCヒーローの混合チーム「ジャスティス・リーグ」の活躍であろう。じつは、今までにコミックのなかでは、スーパーマンのシリーズ、バットマンのシリーズ、「ジャスティス・リーグ」シリーズなど、何度もスーパーマンとバットマンは顔を合わせ、ときに戦闘をしている。その意味では、今回の対決は必然的といえるかもしれない。

 スーパーマンの新たな実写映画『マン・オブ・スティール』、そして本作と、コミック作品などの映画化で力を発揮してきたザック・スナイダー監督が演出を務めているが、ここまでの基本路線構築に大きく影響を及ぼしたのは、やはりクリストファー・ノーラン監督のバットマン映画『ダークナイト』であると考えられる。バットマンはもともとダークな雰囲気を持つ作品だが、ノーラン監督がそこに加えたのは、圧倒的な「リアリズム」だ。ドキュメンタリーのような映像の中で、ヒーローを現実的な舞台に置いてみるという試みは、純粋に映像作品としても実験的であり、近年のヒーロー映画のなかでも、とくに注目すべきものに仕上がっていたといえる。このリアリズム路線が、『マン・オブ・スティール』以降のDC映画に適用されることで、コミカルな魅力を残したマーベル映画シリーズと一線を画す、シリアスな世界観を構築したのだ。

 『ダークナイト』の支持は多いが、より明るい雰囲気を持つはずのスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』までが、このシリアス路線を踏襲したことで、異を唱えるファンも多い。だが、このことによって、DC映画、マーベル映画の雰囲気が決定的に差別化されたという意味では、それぞれが共存共栄することが可能になったともいえるかもしれない。この流れは基本的に維持されると考えられるが、「DCエクステンディッド・ユニバース」上に加えられることになる実写映画『アクアマン』を担当しているジェームズ・ワン監督は、そのなかでも楽しさを加えていくとインタビューで語っており、遠くない未来、この路線に変化が加えられていく可能性も大きい。

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 さて、このようなシリアスさを継続した『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は、楽しい映画を望む一部のアメコミ映画ファン達の期待を裏切る一方で、もちろん、シリアスに徹したからこその魅力もあり、一方では強い支持も受けている。

 ベン・アフレック演じる、バットマンの正体である大富豪・ブルース・ウェインは本作で、『マン・オブ・スティール』でのクライマックスの戦闘の現場に居合わせていたことが判明する。人間の限界をはるかに超えた戦闘を見上げるウェインの姿は、もはや一般人と変わりがない。それほど、スーパーマンの力は強大なのである。ここで描かれるのが、実際のアメリカ同時多発テロ事件を想起させる、高層ビル倒壊の風景だ。本作はここから、スーパーマンとバットマン両者の姿を象徴的に描きながら、アメリカの現在の姿について総括をしていく。

      

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