“囲碁で生死をかける”とはどんな状況か!? 韓国アクション『神の一手』が描く驚愕の世界

 韓国の裏社会で行われている闇の囲碁大会。その大会に関わってしまった兄弟は、案の定、闇の囲碁組織によって碁石を食わされるなど、壮絶なリンチを受ける。兄は惨殺され、弟テソク(チョン・ウソン)は刑務所へ。しかし、テソクの心は折れていなかった。復讐を誓ったテソクは、刑務所内でヤクザからケンカの手ほどきを受け、さらに囲碁の技術にも磨きをかけた。そして数年後、刑務所から出たテソクは眼鏡、長髪、無精ヒゲのもっさり男から、短髪、ムキムキで高級スーツをビシっと着こなす韓流イケメンになっていた。復讐鬼と化したテソクは、口の上手いチンピラ、盲目の囲碁の達人、義手の天才メカニック、を仲間に加え、闇の囲碁組織に囲碁勝負を挑んでいく。テソクの前に立ち塞がるは、ナイフ使いのインテリヤクザ、美女代打ち、そして謎の天才囲碁少女。今、囲碁の達人たちによる生死をかけた囲碁勝負が始まった…!

 今「生死をかけた囲碁勝負」と書いたが、恐らく多くの人は「囲碁で命をかける」という状況が想像できないだろう。だが、先日DVDレンタルが開始された本作『神の一手』は、まさに生死をかけた囲碁勝負を描く作品なのである。つまり、韓国映画らしい過激なヴァイオレンスと、アジア全土で高い人気を誇り、我々日本人にもなじみ深い囲碁が融合しているのだ。…きっと、まだ想像できないだろう。だが本当なのである。この映画は、息詰まる囲碁シーンと、壮絶な格闘シーンが楽しめる(恐らく)今までになかった新ジャンル「囲碁アクション」なのだ。

 本作の基本的なパターンはこうだ。囲碁の対決が始まる→決着がつく→負けた方が襲ってくる→殴り合いになる。こう書くと「負けた側が逆ギレしているだけではないのか?」「最初から殴り合えばいいのでは?」という真っ当な指摘も出るだろう。それは事実であるが、とにかく本作では基本的にアクション・シーンの前に、律儀に「囲碁」を経由するのである。復讐鬼も極悪ヤクザも、暴れる前には必ず囲碁を打つのだ。なんとも不思議な世界観であるが、その徹底ぶりは、観客に「これはこういう世界なのだ」と納得させる、有無を言わせぬ説得力がある。そして、この独特な世界観が登場人物の異様なキャラ立ちと相まって、本作を唯一無二な存在にしている。韓国で大ヒットとなったのも納得だ。

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