超特急・髙松アロハ、なぜ「半袖のポロシャツ」を着ている? 『名探偵のままでいて』原作との比較から考察
原作の「秋口」設定が成立する配役
吉川愛主演のミステリー・ドラマ『名探偵のままでいて』(テレビ朝日系、毎週金曜日よる11時15分から放送中)は、夏から始まる。だが、小西マサテルによる原作小説の第二章「居酒屋の“密室”」には、「もう秋口だというのに」と書かれている。ドラマのクランクイン時期を考えてみても、これはおそらく6月あたりから撮影が始まったと推定され、画面上に秋の気配はない。
にもかかわらず、原作の「秋口」設定がドラマ上でも成立するのは、ひとえに髙松アロハが配役されているからだろう。といっても、彼が秋風を吹き込んでくるような雰囲気を持った人だからというわけではない。むしろ、その逆。髙松アロハを季節にたとえれば、燦々と降り注ぐ眩しい日差しが似合う夏の人だ。
では、どうして髙松が配役されていることによって、本作の「秋口」設定は成立するのか? これもまた本作のミステリー要素に加算したいくらいなのだが、答えは髙松演じる同僚教師・岩田が着ている服装にある。いや、正確にはドラマ上の岩田は全然季節外れではないため、原作で設定されている岩田の(季節外れの)「半袖のポロシャツ姿」との関係性において、だと付言しておかなければならない。
活動ネーム「アロハ」とアロハシャツ
原作の岩田は、主人公の小学校教師・楓が職員室で採点しているところへ、「楓先生。なにニヤニヤしてるんですか」と言って話しかけてくる。そしてこう書かれている。「もう秋口だというのに、岩田はまだ半袖のポロシャツ姿だ。おそらく一年のうち、たとえ一秒でも長い間、二の腕の筋肉を見せたいのだろう」とやや冷めた目線で分析されている。
これに対してドラマ第1話では、本好きの楓の設定を強調するため、場所が図書室に置き換わり、髙松演じる岩田は「半袖のポロシャツ」を着ている。繰り返しになるが、それは季節外れの服装ではないし、自分の筋肉を見せびらかそうとする素振りもない。それどころか、後続場面での岩田は濃い青色の長袖シャツを着ているくらいである(こっちの方が季節外れ)。
しかも長袖をまくってはいるものの、「二の腕」は見せていない。これはいよいよミステリーである…。再度確認する。原作序盤の季節は「秋口」だが、ドラマはどう見ても夏である。仮にドラマ内での夏設定を放送開始と同じ7月中旬だと考えてみても、8月下旬から9月初旬くらいを意味する「秋口」とは少なくとも1ヶ月半の間がある。それでも尚、「秋口」設定を成立させるもの。そんなミステリーは、髙松の活動ネーム「アロハ」とアロハシャツに隠されている。
どんな季節でもタンクトップ姿が似合う人
2022年、メインダンサー&バックボーカルグループ「超特急」に加入した髙松は、活動ネームを「アロハ」にした。名前の由来はもちろん、ハワイの万能挨拶フレーズ「ALOHA」である。髙松には、ハワイ好きの父とともに鎌倉でアロハシャツを作ったエピソードもある。しかもアロハシャツの下はタンクトップというコーディネートが決まっている。とにかくタンクトップが似合う人でいたいという。確かにどんな季節でもタンクトップ姿が似合いそうだ。
岩田役ではさすがにタンクトップ姿はないが、その代わり第2話序盤で夜のランニングをする場面の岩田は、肩まで見える袖なしのウェアを着ていた。さらに他の場面をよく見ると岩田の後輩であり、本作に本格的なミステリー展開を導入する(その名も)四季(綱啓永)は、シャツの下にタンクトップを覗かせていた。髙松アロハとタンクトップの組み合わせは、本作においてはニアミスというわけである。
原作では季節外れの「半袖のポロシャツ姿」である岩田だが、「その見るからに骨太な体躯から受けるイメージとは裏腹に、料理とスイーツ作りを趣味としている」設定は原作通りであり、第2話ラストに岩田が楓にフィナンシェを差し入れている。そしてその場面でもやっぱり「半袖のポロシャツ姿」だ。
ハルによるBL漫画を原作とする主演ドラマ『4月の東京は…』(MBS、2023、筆者はこの作品のオフィシャルインタビューを担当したが、夏の太陽のように明るい髙松が随分会話を盛り上げてくれたことを記憶している)では、オフィスカジュアルなTシャツ姿だったが、同作放送も6月開始という、タイトルからやや季節外れであることを考えると、髙松アロハはどんな季節でもタンクトップ姿が似合う人だという定説をより声高に唱えたくなる。たとえ季節外れの「秋口」であったとしても似合う人なのだ。