【漫画】寝ている人の体に入り込めたら……? 電車好きの少年を描く『快速特急地獄行き』

 事故によって亡くなってしまった、電車好きの男の子・みつる。彼が幽霊となって、入院中の男性に乗り移り、電車を運転する夢を叶えようとする……。そんな漫画『快速特急地獄行き』がSNSで投稿され、数多くのコメントが寄せられるなど話題を呼んでいる。

 みつるが出会ったのは、みつるの乗り移った男性と関係を築いていた女性・なお。みつるとの日々を過ごすなか、なおの表情や性格は明るく変化していく。しかし、とある出来事をきっかけになおの境遇が明らかとなりーー。果たしてみつるは電車を運転する夢を叶えることができるのか。

 作者の超症候群さんは現在、大学に通いながら商業作家を目指して創作を続けている作家。2年以上の制作期間を経て完成したという本作。、構想期間の苦悩についてなど、話を聞いた。(あんどうまこと)

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『快速特急地獄行き』(超症候群)

ーー本作はSNS上で多くのコメントが寄せられています。特に印象に残っているコメントはありますか。

超症候群: 「電車が好きになりました」というコメントをいただいたのが、とても印象に残っています。本作では電車をメインに描きたかったわけではないですし、実は私自身も電車が特段好きなわけではないのですが、私の漫画で読者の方の価値観がちょっとプラスに変わったのかなと思い感動しました。

ーー「E231系」といった固有名詞が登場したりなど、超症候群さんは電車が好きな方かと思っていました。

超症候群:電車についてはかなり調べました。もともと本作を描くにあたって「道連れ」というテーマが決まったあと、最初に思いついたのが最後のシーンでした。そこから「主人公は電車好き」という設定が加わりました。

ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

超症候群:商業誌の漫画賞に作品を送ろうと思い本作を作りました。犬の散歩をしている時に「幽霊が人に乗り移ってその体を動かしたら、どんなストーリーができるんだろう?」と思いつき、物語を考えていきました。

ーーさまざまなものを抱えた「なお」を描くなかで意識したことは?

超症候群:なおは良い人とも悪い人とも言い切れないキャラクターにしたいと思いました。私自身の信条として、人は良い一面と悪い一面の両方を持っているし、その人が良い人か悪い人かは一概に決めきれないものだという思いがあります。なおの場合は少し利己的で、図太いところがあることを匂わせながら描きました。

ーーなおとは対照的に、幽霊として乗り移ったみつるはある種、記号的な造形として描かれていました。

超症候群:単に私がこういうキャラクターが好きだからです(笑)。本作に限らず他の作品でも髪の生えていないキャラクターを描くことが多いですね。

ーー本作は70ページ程ある大作ですが、制作にはどのくらいの期間がかかりましたか?

超症候群:構想から完成まで2年程かかりました。物語の構想に1年程かかっており、自分自身も暗い時期であったこともあいまって、本当にしんどかったです。

 物語の最初と最後は決まっていたのですが、結末に向かって中身を詰めていく過程に最も時間がかかりました。「道連れ」という言葉には悪いイメージがありますが、それを悪いイメージにしたくはなかった。「誰かのために道連れになる」という状況を作るために、物語を少しずつ作っていきました。

 数あるページの中でも、みつるの置手紙が一面に出るページは印象に残っています。

ーークライマックスを描く中で、意識されたことはありますか。

超症候群:ラストの1ページについては、みつるくんの無邪気さと「夢を叶えられて嬉しい」というポジティブなエネルギーを表現できるように描きました。それまでがネガティブなエネルギーで押し込められていたみつるくんのために、最後はパーッと明るく発散させてあげようと思い。みつるの頭にはなおのこともあったと思いますが「夢が叶ったぞ、嬉しいな」という気持ちが1番にあると思います。

ーー創作活動を始めたきっかけを教えてください。

超症候群:15歳から本格的に漫画を描き始め、現在は大学に通いながら創作を続けています。漫画を描き始めたのは「絵の仕事がしたい」と思ったからですが、自分は絵が上手なわけではないと思い……。ただ「物語と絵の二刀流なら仕事になるかもしれない」と考え漫画を描き始めました。17歳のときに漫画賞に作品を送ったことをきっかけに担当編集さんが就いてくださり、今に至ります。

ーー今後の目標を教えてください。

超症候群:現在は「ちばてつや賞」に応募して受賞することが目標です。これからも漫画を作り続けていくうえで「わかりやすさ」と「作家性」のすり合わせを研究していきたいと思っています。

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