高良健吾に聞く、大谷翔平選手の絵本『デコピンのとくべつないちにち』の魅力「デコピン目線の物語で、動物好きな子どもが喜ぶ」
MLBのロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平選手による初の絵本『デコピンのとくべつないちにち』(ポプラ社)が、今年2月の発売から数か月経つ現在も、注目を集め続けている。
この絵本の魅力を紹介するのは、俳優の高良健吾さん。大谷選手と同じく、小さなお子さんのパパであり愛犬家でもある高良さんだからこそ語れる視点が、随所ににじむインタビューとなった。
物語の主人公は、大谷選手の愛犬デコピン。世界でもっとも有名な犬のうちの1匹だ。待ちに待った開幕戦の日。始球式を任されたデコピンは、使用するラッキーボールを家に忘れてきてしまった! 慌てて取りに帰ったデコピンだったが、はたして始球式までにボールを持って野球場に戻れるのか?
「おそらく史上初めて始球式をした犬」と紹介されたデコピンが主人公
――大谷翔平選手の絵本『デコピンのとくべつないちにち』の存在は知っていましたか?
高良:このお話をいただいて知りました。素直に嬉しかったです。大谷翔平さんとデコピンの絵本への感想をお話しして、おすすめできるなんて。これまで、そういったお話をいただいたことがありませんでした。きっと自分が家族を持って子どもが生まれたことも、きっかけの一つかなと思うんですけど、この絵本の話でのお声がけなんて、本当に光栄でした。
――『デコピンのとくべつないちにち』では、始球式の日が描かれます。高良さんも、プロ野球の始球式を経験されていますね。
高良:はい。僕は熊本県出身で福岡県に住んでいたこともあるので、福岡ソフトバンクホークスの始球式じゃないとやりたくないというこだわりがあって(笑)。それで、2度経験させていただきました。その時の記憶は鮮明に残っていますし、この絵本を読んでいても思い出しました。
――実際に読まれていかがでしたか?
高良:まず、誰もが知っている大谷翔平さんも登場するのに、デコピンが主人公だというのが面白いと思いました。デコピン目線で物語が進んでいく。大谷翔平さんとデコピンは現実に存在しているし、始球式も実際に行われているのですが、ここで描かれるお話はファンタジーなんです。だって、大谷さんとデコピンが歩いて球場に行ったり、ボールをデコピンに預けていたりするわけですから。実在している二人、そして実際にあった始球式。それらがモデルだけど、お話はファンタジー。絵本にしかできない表現というのが僕は好きでした。
――特に印象に残っているページはありますか?
高良:球場に向かう道を斜めに進んで、花を見たり、ホットドッグのところに行ってみたり。この曲線の描き方が、絵本にしかできない。映像ではできないなと。すごく好きです。それと、ラッキーボールを忘れたと気づいたときの、デコピンの1ページフルに使った、あの大きな顔! 本当に気持ちが伝わってくるし、可愛いですよね。
――はい、本当に可愛らしいです。
高良:それから、デコピンが一人でボールを取りに帰るんだけど、扉が閉まっているから塀の下を掘って庭に入る。あれもハラハラしました。もうすぐ始球式なのに、間に合うかな、大丈夫かなって。だけどデコピンの気持ちの中で一番面白いのが、ホットドッグが食べられないかもしれないっていう心配が大きいこと(笑)。
もちろんショウヘイへの心配はするんだけど、(始球式ができなかったら)"ピッチャーとして勝つことも、バッターとしてホームランを打つこともできない、そうなったら全部僕のせいだ。優勝はなしだし、パレードもなしだし。ホットドッグまでなしだなんて!"って(笑)。こういうのが、デコピンを主人公にした絵本ならではの良さで、子どもも笑える。たぶん子どもは大谷さん目線より、デコピン目線のほうが楽しめますから。
絵本という表現の再発見、子どもへの読み聞かせで気づいたこと
――最初にお子さんのお話が出ましたが、高良さんも大谷選手も小さなお子さんのパパです。パパになってから、絵本への見方は変わりましたか?
高良:そうですね。僕が小さい頃にもあったような、語り継がれてきた絵本も、改めて読むようになりました。もう少し大きくなったら読んであげたいなと思いながら。その中には、「なぜ、この絵本がずっと愛されているんだろう」と思うこともあるんです。話としては何も起きなかったりして。でも、やっぱり絵が面白かったり、言葉のリズムや、擬音といった魅力がある。そこが子どもの感性には引っかかるんだなと。大人とはまた違う感性で子どもは聞いているし、見ているんだなと。言葉も、目で読んでいるだけでなくて、読み聞かせて口に出すことで、僕自身も感じるものがあるんですよね。残っているものは、やっぱりリズムがいい。
――紙の絵本に「触れる」感覚も喜んでいますか?
高良:喜んでいると思います。めくるのが好きですから。1ページ1ページをちゃんとめくれなくて、飛んだりもするんですけど、楽しんでいますよ。いまは物語というより、絵だったり、耳から聞こえる響きを楽しんでいるんじゃないかなと思います。それから子どもって、動物好きな子が多くて、うちの子もそうなんです。動物は大好き。この絵本も、子どもの前でも一緒に読みました。物語がまだ理解できなくても、読んでいる声のテンションやスピード感、絵の面白さで楽しんでくれましたし、デコピンが常に映ってるので、見て手を振っていますよ。
――そうなんですね! 可愛い動物の絵だと、なんとなくわかっているのでしょうか。
高良:わかってます、わかってます。うちにも犬が二匹いるので、子どもも犬が大好きなんです。
――今回の絵本は、買うことが動物を助けることに繋がる仕組みにもなっています。 大谷選手とデコピンは収益をすべて慈善団体に寄付。日本でも絵本の売り上げの一部が動物保護団体に寄付されます。
高良:絵本の後ろの方にも書いてありましたね。ひとりひとり、自分が1冊を買ったことによって何かの役に立てていると感じられる。そういう仕組みを、みんなを巻き込んでやっている。大谷さんは本当に素晴らしいことをしているなと思います。
――本当ですね。最後に改めて、この絵本の魅力をお願いします。
高良:まずはやっぱり絵が可愛い! デコピンの可愛さ、一生懸命さ。デコピンという自分が大切にしているペットと始球式をするってことが、すごいことですし、そこで信頼関係がわかる。大谷選手がやっていることは真似できないんだけど、生きていく上で大切にしているものというのは、多くの人が持っているものだと感じさせてくれる。
はじめにも言いましたが、大谷翔平さんっていう、これだけの大スターが出てくるにも関わらず、デコピンが主役であり、デコピン目線であり。でもここで描かれている想いは、みんなの中にもあるものだと思える。何か大事なことに向き合う準備をしている姿であったり、失敗した時にそれを取り返そうとする姿だったり、成功した後の絆の深さだったり。舞台は特別だけれど、描かれている心情や振る舞いは、誰もが共感できるお話になっている。そこが特にこの絵本の良いところだと思います。
■書誌情報
『デコピンのとくべつないちにち』
著者:大谷翔平、マイケル・ブランク
絵:ファニー・リム
翻訳:田中亜希子
価格:1,980円
発売日:2026年2月20日
出版社:ポプラ社