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ガンダムエース25周年号が熱い! 富野監督の鋭すぎる指摘「モビルスーツの陳腐化」に注目
7月2日のAmazon売れ筋ランキング「本」部門で76位にランクインしていたのが、『ガンダムエース 2026年8月号 No.288』(KADOKAWA)である。今号は創刊25周年記念号。通常の連載に加えて富野由悠季監督ら関係者のインタビューや、クリエイター陣からのお祝いイラストやメッセージ、そして新連載作品5作の開始と、ボリュームのある内容となっている。
富野監督インタビューの圧倒的な読み応え
2001年の創刊から25年を迎えた『ガンダムエース』。元々は安彦良和氏による『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の掲載のために作られた雑誌という側面があり、そのあたりは今号でのバンダイナムコフィルムワークス常務取締役の佐々木新氏へのインタビューに詳しい話が載っている。まるで白土三平の『カムイ伝』のために創刊された『ガロ』のような経緯で、『ガンダムエース』は生まれたのだ。
その『THE ORIGIN』も15年ほど前に終了し、以降の『ガンダムエース』はガンダム専門の漫画雑誌として刊行を続けてきた。そのありように対して正面から疑問を突きつけるのが、8月号の巻頭に創刊25周年特別企画として掲載されている、富野由悠季監督へのインタビューである。
このインタビューの読み応えはかなりのものだ。先日受賞した旭日中綬章の話題に始まり、25年という期間にガンダムシリーズが富野氏の言う「創作の世界のバイオリズム」に従って動いてきたことが語られる。そして返す刀で、『ガンダムエース』編集部は25年という期間の間、新しい創作の実現や新人の発掘にどれほど本気で取り組んできたのかを問うのである。富野氏のインタビューらしい、ピリッとした緊張感がある。
そのまま富野氏は、ドローンとAIの存在が前提となった現代の戦場に対して、コックピットにパイロットが乗って操縦する人形のモビルスーツという概念がいかに陳腐化したかを語る。その上で、現在の戦場の様相を下敷きにキャラクターや作品を作らなくては、ガンダムの真の後継作になれないと断言するのである。言っていることは全くその通りで、編集部側に反論の余地は全くない。「ガンダム関連の漫画しか載ってませんよ」という雑誌のインタビューで「ガンダムなんかとっくの昔に乗り越えてないとダメだろ」と言い切ってしまうのは、自分の作品でガンダム以上の創作を実践し続け、そしてそれがガンダムほどのヒットにならないことに対して闘志を燃やし続けている富野氏にしか不可能だろう。
さらにインタビュー後半では、AIの存在を富野氏がどう捉えているかも語られる。さまざまな人間の仕事を奪うと言われているAIだが、実際にCopilotと対話してみた富野氏による「現在のAIは単なる道具であり、恥の概念もない」という意見はめっぽう鋭く、筆者としても全くその通りと膝を打つものだった。AIはなんでもできるように見えるが、実際にはただの道具である。しかしその威力はバカにできないし、そのまま何もしなければ人間は「溺死」してしまう。それがイヤならば、ひたすら考え続けていくしかない……。この富野氏の見解とそこに至るまでの理屈は、非常に正確にAIとの共存時代について言い当てているものだと思う。AIとどう付き合っていけばいいのか、そもそもあれはなんなのか……という疑問を持っているのならば、ぜひ目を通した方がいい内容だろう。
80年代ホビーの熱量を今に伝える、レジェンドたちの貴重な証言
SDガンダムのデザイナー・イラストレーターとして知られる横井画伯こと横井孝二氏へのインタビューも興味深い。各所で語られてきた横井画伯のSDガンダムへの参加経緯だが、今号では改めてコンパクトにまとめ直されている。ガンダムがマニアックな方向へ突き進んでいた80年代後半に、別方向を志向する契機となったSDガンダム。バンダイが発行していた月刊情報誌『模型情報』への投稿からフックアップされて、そのSDガンダムのデザイン・イラストレーションを担当することになったという横井画伯の経歴からは、当時のホビー・アニメ業界のアマチュアとプロが混然となった様子が伝わってくるようだ。
もうひとつ、今号から始まった新連載の『ダブルフェイク・リプライズ』も気になるところ。昨年突如としてDガンダムの1/144キットが発売されたことで再注目を集めた『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』。かつて80年代後半、『模型情報』に連載されていた本作を、"再演(リプライズ)"した作品である。今号ではこの連載開始にあわせて、初代『ダブルフェイク』作者であるうしだゆうじ氏と、小太刀右京氏との対談も収録。ガンダムの主人公としては異色である熱血漢ダリエル・ガンズがなぜ生まれたのかや、連載開始時のうしだ氏のキャリアなど、『ダブルフェイク』を知っている人ならば「そうだったのか〜」と言いたくなる対談だ。
とにかく富野氏のインタビューが面白いので、ガンダムに興味がなくてもできればそこだけでも読んでほしい今号の『ガンダムエース』。前述のように今号から始まった新連載も多く、また巻頭では各連載作品の紹介も入っているので、今号を入り口に読み始めても楽しめるはずだ。
■書誌情報
『ガンダムエース 2026年8月号 No.288』
価格:1,650円
発売日:2026年6月26日
出版社:KADOKAWA