『葬送のフリーレン』人類最強・南の勇者の生き様が熱すぎる! ヒンメルへ道を切り拓いた「散り際の美学」

 TVアニメ『葬送のフリーレン』第2期で描かれた「南の勇者」のエピソードが、視聴者の間で大きな反響を呼んでいる。作中ではこれまで「人類最強の勇者」という断片的な情報のみが語られていたが、本格的な登場となった第2期では、その圧倒的な強さと気高い精神が描かれ、瞬く間に「南の勇者がかっこよすぎて泣いた」「好感度が爆上がりした」と話題をさらっているのだ。

 南の勇者の性格を一言で表すならば、「高潔」という言葉に尽きるだろう。初対面のフリーレンを勧誘した際には、右に分けた前髪と整えられた髭という特徴的な風貌に加え、飄々とした態度を見せていた。自身を最強と疑わず、一見すると自信過剰な不遜な男という印象を抱かせるが、その裏には確かな実力と巨大な覚悟が隠されていた。フリーレンの表情が少しも変わっていないのに「気に病む必要はない」というセリフが出てきたのは、“自分が同行を断ったからこの人は死ぬのか”と一瞬考えたフリーレンの罪悪感を感じ取ってのことだろう。

 南の勇者の戦い方はで特筆すべきは、特定のパーティーを組まず、ほぼ単独で魔族の軍勢と渡り合っていたという事実だ。にもかかわらず、わずか1年で魔王軍の前線部隊を壊滅させており、魔王の腹心である「全知のシュラハト」が七崩賢全員を集結させて彼を討とうとしたことからもその実力は疑いようがない。相手の魔力が自分より低い場合に服従させる魔法を持つ「断頭台のアウラ」の術中に嵌っていなかった点からも、彼女を凌駕する魔力を有していたことも推測できる。七崩賢3人、そしてシュラハトまでもを葬った戦果は、まさに「人類最強」の名にふさわしい。

 この圧倒的な強さを支えていたのが、「未来視」だ。フリーレンがのちにヒンメルと出会い、人間を知る旅に出ることをおよそ80年前のこの時点ですでに確信していることから、その予知能力は少なくとも数十年先まで届いていたと見られる。

 特に視聴者の心を強く揺さぶったのが、この未来視という能力がもたらす過酷な運命に対する向き合い方だ。南の勇者はシュラハトたちとの死闘の結果、自分が命を落とすこと、自分が歴史に名を残す「魔王を倒す勇者」にはなれないことを理解していた。そして自分ではなく、後に現れる若き勇者ヒンメルが真の平和を勝ち取る未来のために、あえて自らが礎となる道を選択。自分の功績がたとえ忘れ去られようとも構わないというその献身的な姿勢は、英雄と呼ぶべき気高さに満ちている。

 北側諸国では、今なお「南の勇者はまだどこかで戦っている」という伝説が信じられている地域もあるという。アニメの演出では、村に立つ彼の銅像が、どこか遠くの未来を見守っているかのようにも見えた。実際にはシュラハトと相打ちになり、壮絶な最期を遂げたとされているが、その遺体が見つかっていないという事実が「生存」という希望を残す。

 フリーレンに対し、「その青年(ヒンメル)に出会ったら伝えてくれ、道は必ずこの私が切り開く」と伝言を託した南の勇者の想いは、時を超えてヒンメル一行の足元を照らし、魔王討伐への決定的な布石となった。圧倒的な強さを誇りながら、最期までたった一人で人類の存亡を背負い、次の世代にすべてを託して散っていく……。その「散り際の美学」こそが、多くの視聴者の心を揺さぶり、南の勇者という存在を物語の不可欠なピースとして刻み込んでいるのである。

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