見取り図 盛山「リリーの真似したら大怪我します」初エッセイで明かした“モテ論”と“自分らしさ”

 お笑い芸人・盛山晋太郎。2007年に結成したお笑いコンビ「見取り図」のツッコミとして大阪を拠点に活動し、2019年には第4回上方漫才協会大賞で大賞を受賞。2020年のM-1グランプリでは第3位に輝き、全国的な知名度を獲得した後は、バラエティ番組のほか、テレビドラマの出演、女性誌『anan』のボディメイク企画に挑戦するなど、お笑い芸人として幅広く活躍の場を広げている。

見取り図・盛山晋太郎 初エッセイ『しばけるもんならしばきたい』 (幻冬舎)

 そんな盛山にとって初のエッセイ集『しばけるもんならしばきたい』(幻冬舎)が10月4日に発売された。本書は、文芸誌『小説幻冬』で2020年6月号から連載してきたエッセイをまとめたもので、学生時代の思い出やブレイク中に考えていた思考の軌跡が、ユーモラスかつ軽快な筆致で綴られている。

 今回のインタビューでは、執筆の裏側や相方・リリーから学んだ「モテ方」のほか、次回の構想まで語ってもらった。

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コボちゃんみたいに読めるという転機

――2020年からの連載がついに書籍化されました。あらためて読み返してみて、いかがでしたか?

盛山:連載していた頃と今とでは、考え方が全然違っていて驚きましたね。約5年くらい連載していたんですが、最初の原稿を読むと「もうそれ思ってへんわ」と思うところが結構あって(笑)。単行本化の際に加筆や修正もできますよと言っていただいたんですが、恥ずかしすぎて、読み返すときは薄目で読んでました。

――軽快な文章で、とても読みやすかったです。

盛山:俺は文章が得意じゃないので、担当編集者さんにたくさん助けてもらいました。最初の頃は悩みながら書いていたんですけど、SNSで「この連載は『コボちゃん』みたいに読める」と書いてくださっている感想を見つけたことがあって、それはめちゃくちゃ嬉しかったですね。

――「4コマ漫画みたいに読める」という感想が嬉しかったんですね。

盛山:そうですね。このエッセイを連載していた『小説幻冬』って、東野圭吾さんみたいな大御所が連載してるような文芸誌。文庫本や単行本を待たずに、書き下ろしの小説を読んでいる訳で、それって本がめちゃくちゃ好きな人たちが読んでいるわけじゃないですか。そんな読者の方が、俺の文章を気楽な気持ちで読んでもらえていることは嬉しかったですし、それを知ってから「このままでいいんや」と思うことができました。

――最初は迷いもあったんですね。

盛山:俺はこれまで本をちゃんと読んだことがなくて。エッセイを書くための参考にオードリーの若林さんのエッセイを購入させていただいたのですが、若林さんは若林さんという人間としての面白さがあるから面白いわけで、それを真似しても仕方がないので。とにかく何かに影響されずに素のままで書くことを意識しました。とはいえ、連載初期は一人称が「私」とか「僕」になっていて。カッコつけようとしていたと思います。

 ただ、『コボちゃんみたいに読める』という感想を見つけてからは「エッセイっぽく書こう」と意識しなくてもいいんだと気づいて、自然体で書けるようになりましたね。

――確かに素が出ている感じが魅力でした。

盛山:ただ、書いた内容をすぐ忘れてしまうんです。気づいたらずっと反町隆史さんやドラゴンボールの話ばっかり書いてしまっていて。麒麟の川島さんから指摘されました。「このフレーズ前もなかった?」って(笑)。

エッセイより小説がいい……

――2020年はブレイクされて忙しい時期だったと思います。連載オファーを受けたときの気持ちを教えてください。

盛山:初めての仕事でしたし、「エッセイ連載」って響きがすごくキラキラしてたんですよね。でも実際にやってみたらめちゃくちゃ大変。テーマを考えるだけで1週間かかることもありました。

――オファーを受けた際には、盛山さんから「小説がいい」と逆提案したと聞きました。

盛山:いや、めっちゃヤバないですか(笑)。小説をまともに読んだことないのに。

――冗談のつもりの発言だったのでは?

盛山:いや、本当に小説がいいと思っていました。何でも勘違いから始まるなと思いますけど、これはほんまに始まらんでよかったです。エッセイでもこんなに大変やったのに、もし小説だったら担当編集の黒川さんからフィリピンまで逃げていたと思います。


――エッセイはどこで執筆されていましたか?

盛山:基本は新幹線とか、移動中ですね。あとは、いつ亡くなってもおかしない感じのおばあちゃんがやってる喫茶店。全然話しかけられないので居心地よかったんですけど、差し入れでいただいたフィナンシェをお渡ししたら、それ以降はずっと話しかけてもらえるようになって。いつの間にか、おばあちゃんと喋りにいく感じになってしまい、全然執筆できなくなりました(笑)。

――ほっこりするエピソードですね。

盛山:フィナンシェが繋いでくれた縁ですね。おばあちゃん、多分初めてフィナンシェ見たんちゃうかな。

リリーの真似をしてもモテない


――エッセイには「モテたい、モテない」という話題もたびたび登場しますね。

盛山:今はもう落ち着きましたけど、若い頃は今よりもっとモテたい気持ちがありました。若手の頃の話ですけど、8対8の「伝説のコンパ」があったんです。相手の女の子たちは読者モデルみたいな美人ばっかり。僕ら同期芸人は「なんでこんな美人が揃ったんや?」と思いながら、翌日の仕事のことなんて考えずに、とにかくフルパワーで笑わせにいったんです。全てを大喜利だと思って、みんなトイレから戻るたびに変な格好して戻ってきたりして、とにかく全力。実際、女の子たちは腹抱えながら笑ってくれて、かなり盛り上がったんです。

 だけど、コマンダンテ(現在はお笑いコンビ・CITYとして活動中)の石井だけは、コーヒー飲みながら、3時間ずっと足組んで俺らがボケてるのを微笑んで見てるだけ。なんでコンパでコーヒー飲んでんねんって話なんですけど。とにかく何も喋らんかったんです。そうするうちに、合コンも終わりに近づいて「この8人の中で、誰が一番良い?」と女の子たちに指差してもらったら、全員が石井を指したんですよ。その瞬間、泡吹きそうになって。

――(笑)なぜそんなことに?

盛山:何も喋ってない石井が満票獲得(笑)。その瞬間、俺たちは女の子たちに「『面白い人が好き』なんて二度と言うなよ!」とブチギレました。今になって思うと、女の子にとっては笑かそうとしてくる男よりもサラッとした男が好きなんやなと思います。相方のリリーもとにかくモテるんですけど、このエピソードに通ずるようなサラッとしている感じがありますね。

――勉強になります。ということは、リリーさんのようにサラッとしている感じを真似すればモテるのでは?

盛山:これまでリリーの真似して散々な目にあってきましたよ。新しい女性マネージャーが挨拶しにきたとき、リリーは「よろしくな」と彼女の肩をポンと触ったんですね。「よし俺もやってみよう」と思って真似したら、そのマネージャー、『トムとジェリー』くらい飛び跳ねてました。

――安易に真似したら失敗するんですね。

盛山:ほんまですよ。やっぱり積み上げてきたブランディングがあるんで、真似したら大怪我します。

中学の番長・大原くんとのエピソード

――本書では、中学時代の番長・大原くんとのエピソードが印象的でした。理不尽な理由で殴ってきたりと盛山さんは散々な目にあっていますが、最後には「好きやけど」と書いていましたね。

盛山:大原くんから電話がかかってきそうやなと思ったので。保険です(笑)。だいぶバリア張ってますね。少し前にベロベロに酔ったとき、「大原ぁ…どつきたいぃ…!」って号泣しながら呻いていたらしいんです。翌日、妻に「昨日のなに?」と聞かれて。「まだ潜在的にそんなことを思ってたんや」と自分でも驚きました。

――ということはタイトルの通り、大原くんを”しばけるもんならしばきたい”?

盛山:はい。もし1時間だけ法律がなくなったら、血眼になって大阪に向かいますよ。ただ、僕らのコントネタに「南大阪のカスカップル」があるんですけど、あれが生まれたのは大原くんのおかげなんですよね。大原くんはもうあのキャラクターのまんまで、ネタを披露するときは、喋り方も憑依させて演じています。


――これからもエッセイを書きたい気持ちはありますか?

盛山:そうですね。この連載の最終回を迎えたとき、「終わった~!」という達成感があって。「ほんま向いてなかったな」「終われてよかったな」と思っていたんです。でも不思議なのが、連載が終了して2ヶ月くらい経ったら、めっちゃ書きたくなって。5年もやってるから書きたいことをメモする習慣がクセになっているんです。やり直したいわけじゃないんですけど、ほんまにもう一度頑張りたいですね。

■書籍情報
『しばけるもんならしばきたい』

発売日:10月4日発売
価格:1,760円(税込)
出版社:幻冬舎

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