【漫画】派遣社員、自宅で幽霊と出会うーー創作者の熱量描く『ユウコさんとレイカちゃん』
自身の創作物を他人に評価される環境に身を置くことは、かなりの勇気が必要になる。ただ、自分を信じてくれる人が1人でもいれば、その荒波に立ち向かうことができる。その“人”が人間ではなくても、その点は揺るがないだろう。Xに投稿された『ユウコさんとレイカちゃん』は、創作活動の葛藤や喜びを描いた漫画だ。
親しみやすいキャラデザと共感しやすいストーリーが特徴的な本作の作者・やだオスカルさん(@yada_oscar)に、制作秘話などを聞いた。(望月悠木)
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“触れること”がテーマ
――周囲に馴染めず、絵を描くのが好きな女性と幽霊の物語でしたね。
やだオスカル(以下、やだ):制作した当時はコロナ禍で、他者に触れることが難しい状況でした。「“触れること”をテーマに描いたら面白そうだな」と思ったのが始まりです。“触れること”を物語のゴールにしたかったので、主人公のレイカちゃんは人と接点がなく、つまりは人に触れることがないキャラクターに決めました。
――ユウコと出会い、コンテストに応募するというストーリー展開は、どのように決めていきましたか?
やだ:他者と接点がないレイカちゃんが、好きな絵を通して周囲とつながっていくまでの過程を、“触れること”にフォーカスしてストーリーを組み立てました。また、レイカちゃんの成長を描くにあたり、“自分の心に触れる”という工程も必要だと考え、レイカちゃん自身が過去の自分と対峙するシーンを用意しました。シンプルなエピソードですが、ドラマチックなシーンにできたと思っています。
――切なさがありながらも、前向きなラストでしたね。
やだ:ユウコさんとの交流を経て成長したレイカちゃんを描きたく、女の子との交流シーンを設けました。“最後には握手を通して直接人に触れることができた”という終わり方は、自分でも気に入っています。
ユウコの登場シーンの狙い
――レイカとユウコの誕生経緯を教えてください。
やだ:レイカちゃんは他者と交流がない設定なので、なるべく偏屈な性格にしました。「だったら見た目にも無頓着だろう」と思い、髪の毛もボサボサにしています(笑)。ユウコさんは、良くも悪くもおせっかいなおばさんをイメージしました。
――レイカの口から出てくるユウコの登場シーンのインパクトは絶大でした。
やだ:周囲と距離を取っているレイカちゃんに、お構いなしに近寄るユウコさんのおせっかいさと、すり抜ける幽霊の特徴を“出会いのコマ”で表現したくて、あのシーンが生まれました。小さいキャラと大きなキャラのリアクションを1つのコマに収めるのは意外と難しいのですが、これならどちらのリアクションも描けるので一石二鳥でした。
――現代を黄色、過去を青色で描くなど、読みやすさにも工夫されていましたね。
やだ:一般的な漫画でも回想シーンはコマの形を変えたり、外側を黒く塗ったりしますが、本作では黄色と相性のいい青色で表現しました。コマを角丸にして回想シーンを表現することも考えましたが、当時使用していた制作ソフト「CLIP STUDIO」の設定方法がわからず、断念しました……。
――今後は漫画制作をどのように進めていく予定ですか?
やだ:2025年7月から「JAF Mate Online(JAFメイトオンライン)」にて、『JAF会員が遭遇! 本当にあった怪奇談』を連載しているので、チェックしてもらえると嬉しいです! また、僕が運営しているブログ『やだオスカルWEB』では、自分ルールを紹介したエッセイ漫画『ぼくはルールに縛られたい』なども読めるので、こちらも覗いてもらえればと思います。
そのほかにも描きたいエッセイ漫画がまだまだあるので、ペースを上げて描いていきたいですね。イラストと漫画の中間のような自分の作風を深掘りし、多くの人に届くよう動いていけたらと思っているので、ぜひ応援してもらえると嬉しいです。
©️ やだオスカル
■『JAF会員が遭遇! 本当にあった怪奇談』:https://jafmate.jp/series/lifestyle/kaikidan.html
■『やだオスカルWEB』:https://yada-web.com