ビヨンセの影響でウエスタンルックが大注目! ポスト・マローンやケンダルが再定義するカウボーイスタイルの今

■ビヨンセ『Cowboy Carter』のインパクト

 2025年のファッションシーンで、最も注目されているのがウエスタンルックだ。火付け役となったのはビヨンセで、2024年に発表したアルバム『Cowboy Carter』の影響が大きい。アルバムのカバーやライブで着用したカウボーイハットやフリンジ付きのウエアやブーツといったウエスタンアイテムを取り入れるスタイルは、アメリカのみならず、ファッションの本場であるパリのストリートにまで波及。ファッション誌『marie claire』では「カウボーイブーツがフレンチガールの定番になった」との特集を組んでいる。

marie claireの公式インスタグラムより

 SNS上でも「#cowboycore」のハッシュタグがトレンドとなっていて、TikTokでは「#cowboycore」のハッシュタグが数千万回以上再生されていたり、Instagramではケイティ・ペリーの投稿がバズるなど、音楽とファッションが一体化した現象は、SNSを通じてさらに広がりを見せている。

■セレブが魅せる多様なウエスタンルック

 ビヨンセ以外でも、人気アーティストやセレブたちがウエスタンアイテムを取り入れるスタイルが目立つ。ベラ・ハディッドは、ブラウンのレザーセットアップに同色のカウボーイハットを合わせたスタイルをSNSに投稿。彼女の都会的なイメージとウエスタンの融合を象徴したアーバンスタイルを披露している。

ベラ・ハディッドの公式インスタグラムより。一緒に写るのはバックストリート・ボーイズの面々

 ケイティ・ペリーは、シルバーのボディスーツとブーツを組み合わせたテクノファッションをミックスした斬新なスタイルを披露。「挑発的で新しいウエスタン」のイメージを提示している。モデルのケンダル・ジェンナーは、デニムバミューダショーツとカウボーイブーツの組み合わせで、デイリーアイテムとしてのリラックスしたコーデを提示。ファッショニスタにとって、ウエスタンが「タウンユースできる」ことを証明した好例だ。

■ウエスタンとモードをどうマッチさせる?

ファッションブランド、SKIMSの広告でカウボーイスタイルを披露したポスト・マローン。ポストマローンのインスタグラムより

 SKIMSやUGGとの広告ビジュアルで、カウボーイハットを被り馬との撮影を行うなど、これまでもカウボーイスタイルのファッションを取り入れてきたポスト・マローンは、2025年9月にパリ・ファッションウィークで自身のブランド『Austin Post』を発表予定。これまでカウガールといった女性ファッションとしてフォーカスされることが多かったが、ヒップホップとカントリー、ラグジュアリーとストリートを横断するポスト・マローンには、新しいメンズのウエスタンスタイルが期待される。

 雑誌『InStyle』のwebサイトに8月16日に発表された記事では、「ジーンズとブーツを都会的に着こなす12の方法」とのタイトルでウエスタンスタイルを都会的に着こなすテクニックを提案していたり、『Forbes』では「Cowboy-coreは文化的にもビジネス的にも力を持つ」と分析し、単なる一過性のトレンドではないことを示すなど、今後の定番ファッションとして根付いていくことに触れている。ビヨンセを皮切りに、欧米のセレブたちが再解釈するウエスタンスタイルは、文化的再発見でもあり、同時に新しいファッションの可能性を示すものになりつつある。もはやウエスタンスタイルは過去の象徴ではなく、現代の都会に根付くスタンダードへと進化しつつある現象が起きている。

「AVANT MAGAZINE An Anthology of Western Wear」

 最後にウエスタンの歴史やファッションアイテムがわかる書籍を紹介したい。洋書ではあるが、フランス人のヴィンテージコレクターとして知られるエリックが著書である「AVANT MAGAZINE」の『An Anthology of Western Wear』特集号がおすすめだ。過去から現代のウエスタンスタイルまで豊富なヴィジュアルが掲載されていて、見ているだけでも楽しめる内容となっている。

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