圧倒的に成果を出す人の特徴は? 話題書『すぐやる人の頭の使い方』著者・鈴木進介が教えるシンプルなコツ
何かと多忙な現代人は、仕事でもプライベートでもやらなければいけないことが山積みである。しかし、「あれをやらなきゃ」「これもやりたい」と思いながらも、思うように動き出せずにいる人も多いのではないだろうか。そして、SNS上の行動的な人を見るたび、「なぜ、行動力があるのだろう」と感じている人もいるかもしれない。
すぐやりたいのに、第一歩を踏み出せない。そんな悩みを抱える人におすすめの一冊が、『すぐやる人の頭の使い方 やる気に頼らず物事をシンプルにとらえる43のコツ』(鈴木進介/著、日本実業出版社/刊)である。これまで思考の整理を通じて行動力を上げるための人材育成にも数多くかかわってきた鈴木氏がすぐやる人の行動パターンを、実例を交えながらわかりやすいイラストとともに解説している。
そして、前に踏み出したい人を後押ししてくれる、心強いメッセージが満載なのが嬉しい。多くの悩める現代人と向き合ってきた鈴木氏に「すぐやる」ための秘訣を聞いた。
行動しないと成果は得られない
――数々のベストセラーを生み出してきた鈴木さんですが、今回の本を書こうと思ったきっかけを教えてください。
鈴木:僕は企業や個人に向けた人材教育の仕事をしているのですが、そのなかで、ノウハウを教えても、行動しないと何の成果も得られないことを痛感しています。それこそ、日々、嫌というくらい感じているのです。結局、大事なことは行動を起こすこと。ノウハウよりも大事なことはすぐやるだけだと思ったのです。
なぜならノウハウを理解していても、どんなに頭がよくても、すぐやる人のほうが圧倒的に成果を出していることがわかったからです。そういった日々感じている歯がゆさを、より多くの読者に伝えたいと思ってこの本を書きました。
――日頃感じていることが、余すことなく書かれていると。
鈴木:そうですね。どんなに優秀な大学を卒業して大手企業に就職しても、やはり動かなれば仕事の成果には繋がっていません。つまり、エリートでなくても、すぐやることで道が開けるという気づきを、みなさんに持っていただきたいと思いました。
以前、執筆したの本のなかでは、心に余裕を持とうとか、無駄なことを考えずに雑念に振り回されなければストレスが溜まらないことを書きました。しかし、どんなに精神面で安定したとしても、やはり動かないと何も結果が出ません。そこで今回は、行動面にフォーカスした内容をまとめました。
――すぐやる人とできない人の違いはどこにあるのでしょうか。
鈴木:すぐやる人は、目の前の第一歩を大きく捉えません。大きな夢は描くけれど、初めの第一歩を敢えて小さくして、実行しています。私の座右の銘に“着眼大局着手小局”という言葉があります。大きく物事を捉えるけれど、細部にこだわる、これを気質として持っている人が「すぐやる」のだと思います。
またすぐやる人は、高速アップデート主義者が多い印象です。失敗が怖いとか、恥をかきたくないとか、完璧にしなきゃとか、そういうことを考えず、雑であってもすぐにスタートして後から軌道修正していく。そのほうがブラッシュアップの回数も増え、結果的に成果が出やすいのです。
「すぐやる」ためのシンプルな方法
――確かに、すぐできない人は周りの評価を気にしすぎる傾向がありそうです。
鈴木:他人の目線がノイズになっている可能性が高いです。周りの目ばかりを気にしていると、うまくいかなかったら笑われるのではないか、恥ずかしい思いをするのではないか、といった不安ばかりを気にしてしまいます。
あと、優先順位のつけ方がわからなかったり、不安と面倒くささに囚われている人もいるでしょう。やらない理由を考えて、その場は安心しても、結局、後悔したり、取り返しがつかない状況になるかもしれません。何はともあれ実行することが大事だと思います。
――すぐやるために、もっとも必要なこととはなんですか。
鈴木:20個ほどタスクがあったら、本当に重要なもの以外はノイズと考えることです。ただし、優先順位を頭の中だけで決めようとすると、逆に雑念ばかりが生じて結論を出しにくくなることがあります。
そこで、慣れない間は書き出すことが重要です。見える化してタスクを選別するのです。スマホでもノートでもかまいません。視覚的に見える状態になると、冷静かつ客観的に判断しやすくなります。そうやって、物事を優先順位にわける感覚を身に付けられると行動が速くなりますよ。
環境を変える重要性
――とはいえ、やる気を出すのが難しいと考えている人もいます。
鈴木:やる気を出すコツとして、会う人を変えるとか、飲み物を変えるとか、そういう小さなきっかけが影響しやすいと思います。私がやる気を出すアイテムはずっとコーヒーだったのですが、最近は紅茶がスイッチになっています。優雅な気分になるし、あたふたしているときには落ち着けて、物事を冷静に見極めることができています。些細なことであっても、気持ちのスイッチにすることができるんですよ。
――環境を変えるのも一つの手段と話がありました。
鈴木:すぐやれない人のなかには、環境を変えることを試していない人が多い。これは意外にやっていないと思います。環境を変えると、パソコンの初期設定のように、頭を切り替えることができる。自分の意志やモチベーションではなく、外的な要因で行動力が呼び覚まされることもあります。
すぐやる人は、自分に合った環境の変え方が身についているのです。ガジェット好きなら、新しいガジェットを手にする。机やスマホケースを買い替えるとか、文房具を変えるとか、ノートにこだわるとか、そういうことを無意識にやっている。
あと、私の印象では、SNSの悲観的な情報に振り回されすぎている人が多いですね。SNSから離れてみて、客観的に自分を見つめなおしてみるのも有効かもしれません。