【漫画】金欠学生、バイトで手を出したのは闇……ではなく? 藤子不二雄スピリット感じる『宇宙でアルバイト』


ーー本作を創作したきっかけを教えてください。

肘本ぎゃふん:本作は、藤子不二雄先生ファンのクリエイターが集まって制作した、一次制作合同誌「フジコ・スピリット第2号」に掲載されている作品なんです。描き始めたきっかけは、合同誌の制作者さんからお誘いいただいたことでした。「フジコ・スピリット」の2冊目に作品を載せないかとオファーをもらって、ぜひと考え始めました。

ーー藤子不二雄氏のオマージュマガジンに掲載する作品を、宇宙でアルバイトをする物語にした理由は?

肘本ぎゃふん:SFの設定を考えるなかで、非日常のなかの日常感を描きたいなと思ったのが最初です。私たちにとって、“宇宙”は非日常じゃないですか。対して、人生のなかで当たり前のようにおこなったり、“アルバイト募集!”という感じのポスターを見たり、そのものをよくおこない、よく目にし、よく耳にするという点で“アルバイト”というモノに日常性を感じたんです。

 本作は一話完結型の作品の第一話として描いたのもあって、正直日常感はあまりないですが、第二話以降を描く機会があればもっとアルバイトの日常感を出したいですね。

ーーやはり作品からは、文字通り“藤子不二雄スピリット”を強く感じました。

肘本ぎゃふん:無意識の部分もあるんですけど、昔から藤子不二雄先生にどっぷり浸かっているので、特にセリフなんかは相当影響を受けていますね。またコマ割りや構図にも、“ぽさ”が出ている箇所は多いと思います。序盤のコマの構図は横アングルを多用しているのもあって、だいぶ藤子不二雄先生っぽさが出ているかなと感じます。

 ただ後半には、藤子不二雄先生が絶対やらないような構図も取り入れているんです。藤子不二雄先生っぽさとオリジナリティのバランスが上手くいったかなと、そこは満足していますね。

ーー本作のなかで、肘本ぎゃふん氏自身が気に入っているポイントを教えてください。

肘本ぎゃふん:ピンチに陥る後半の描写が気に入っています。特に、この星の生物であるプアーの方が怖がっていて、地球人の文大の方がやる気になっているのが好きです。例えば、私たちは地球人ですけど、だからといって地球の怖いモノに全部対処できるかと言ったらまったくそんなことはないですよね。怖がるプアーの雰囲気と、一緒にいる奴がめちゃくちゃ怖がってたらしっかりしなきゃと思ってしまう文大の雰囲気が、リアルに出ているかなと思います。SFとしてはもちろん、その辺りの人間的な描写も掘って感じていただけると、より楽しんでもらえるかなと…!

ーー昔からSF漫画が好きだったのでしょうか?

肘本ぎゃふん:小さい頃からSF作品に囲まれていました。科学系の漫画をよく読んでいて、藤子不二雄先生以外にもあさりよしとお先生の『まんがサイエンス』が好きでしたね。絵柄も影響を受けていると思います。

 藤子不二雄先生だと、『21エモン』や『パーマン』が特に好きでした。『21エモン』は“未来を舞台にホテルでの騒動”を描いた作品で、まさに非日常と日常の融合を描いているんです。

ーー最後に、今後はどのような漫画を描きたいですか?

肘本ぎゃふん:実はこれまであまりしっかりと漫画を描いていなかったのですが、本作を描いてもっと漫画を描きたいと思いました。最近「フジコ・スピリット第2号」に掲載されている作家さんやほかの漫画家さんとお話する機会が増えて、「そういえば昔漫画家になりたいとか言ってたなぁ」と思いだしてきたんです。形にしたいキャラクターや設定はたくさんあるので、今後も定期的にSF漫画を描いていきたいです!

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