お笑い界の“天下”は誰の手に? 霜降り明星・せいや、相席スタート・山添……識者が注目する5人の名前
お笑いコンビ・令和ロマンの高比良くるまが活動を再開した。高比良は、昨年末に史上初の『M-1グランプリ』2連覇を達成するも、直後にオンラインカジノ問題が発覚。まさにこれからというタイミングでの活動休止だっただけに、彼の復帰はお笑いファンにとって大きなニュースとなった。
この一件をきっかけに、改めて現在のお笑い界の勢力図に注目が集まっている。かつてのように、誰もが認める絶対的な「天下人」が存在する時代は終わり、テレビ、YouTube、劇場など、芸人たちが活躍するプラットフォームは多様化した。
複雑化するお笑い界において、次に覇権を握るのは誰なのか。お笑い評論家のラリー遠田氏に、次世代のスター候補について分析してもらった。
多様化する“天下”のあり方
現代のお笑い界における「天下」の定義は、一筋縄ではいかなくなっている。ラリー氏は、その勢力図を大きく2つのタイプに分けて分析する。
「以前は、ゴールデン帯のバラエティ番組にたくさん出たり、冠番組を持ったりすることが“天下”への唯一の道でしたが、今は必ずしもそれだけに留まりません。つまり、“天下”は2種類あるんです。テレビで超メジャーになる道と、自分の城を作って、その城の中でファンを増やしていく道。その“城”というのは、主にYouTubeやライブだったりします」
ラリー氏は前者の、テレビで圧倒的な存在感を放つ芸人として、有吉弘行やサンドウィッチマン、くりぃむしちゅー、バナナマン、そして千鳥やかまいたち、麒麟・川島明といった名前を挙げる。彼らはまさにお茶の間の顔として、現在のテレビバラエティを牽引する存在だ。
一方で、後者の「自分の城」を築き上げるタイプの代表格として、ラリー氏は霜降り明星・粗品やさらば青春の光、ラランドらの名を挙げる。
「粗品さんはテレビにも出ていますが、どちらかというと後者寄りですよね。さらば青春の光も、YouTubeチャンネルがすごく人気ですし、単独ライブも盛況で、カリスマ感が出てきています。ラランドにもいえますが、やはり個人事務所だと、自分たちのペースでできるYouTubeやライブを中心に活動するスタイルが合っているのではないでしょうか。今回の一件で、吉本を退社した令和ロマンのくるまさんも、こちらのタイプに当てはまると思います」
彼らはテレビという枠組みに捉われず、YouTubeや劇場を主戦場に、よりコアで熱狂的なファンを獲得し、独自の地位を確立している。
次にテレビを牽引するのは誰か?
一方で、テレビ業界にもここ数年で変革が起きている。ダウンタウンやとんねるずといったベテラン芸人が一線から退いた今、空いたポストを担うのは誰なのか。
ラリー氏に、これからのテレビを牽引していきそうな芸人を尋ねると、複数の名前が挙がった。
圧倒的なテレビ適性を持つ、霜降り明星・せいや
まずラリー氏が「ダントツ」と評するのが、霜降り明星のせいやだ。 その理由は、テレビタレントとしての圧倒的な適性にあるという。
「せいやさんは、すでに多くのレギュラー番組を持っていますが、これからもっと出るようになると思います。相方の粗品さんとはまた違った才能があって、明るくて、動きが面白く、画面に映える。さらにコメント力もあるので、バラエティ番組で必要なことは一通りできるんですよ。その才能にみんなが気づき始めてるので、これからもっと仕事が増えていくと思います」
現在は、メインMCのいる番組にサブで出演することが多いが、それこそが将来の飛躍に向けたステップだとラリー氏は指摘する。
「サブMCとして評価されている人って、何年後かに絶対自分がメインになるんですよ。少し前は、南海キャンディーズの山里(亮太)さんや麒麟・川島さんがそのポジションでしたし、千鳥やかまいたち、有吉さんもそうだったわけです。だから、せいやさんも近い内に、メインMCを担うようになるのではないかと思います」
せいやがメインMCの番組が増えれば、コンビで出演する機会も増え、霜降り明星としての真価がさらに発揮されるかもしれない。