『SPY×FAMILY』ダミアンはなぜ人気? 「ツンデレ具合」と「いざという時の男らしさ」に注目

時折見せる孤独な表情も見逃せない

 ダミアンに関してもう1つの注目したいポイントに、家族との距離感と、物語の要所要所で描かれる子供らしさがある。初登場から、ダミアンがデズモンド家の子息であることに強いプライドを持っていることは明白だったが、ストーリーが進むにつれ、父親への畏怖の念や成績の良い兄への負い目といった、家族に対する複雑な感情があることが明らかになっていく。

 彼が星(ステラ)獲得やテストの成績にこだわるのは、すべては忙しい父親に振り向いてもらうため。また、バスジャック事件の後、母メリンダが車で迎えにきた際には涙を流して喜び、その日の夕食が彼女の手料理であるだけで心の中で大喜びする。父母に対してはとにかく子供らしくけなげなのだ。

 コミック最新15巻では、デズモンドの家族団らんの様子が明らかになり、家族関係の希薄さや、ドノバンとの奇妙な距離感も明らかになった。これまでも、「疑似家族」でありながら父母とも仲が良く強い絆で結ばれているアーニャとの対比は描かれてきたが、最新巻で父親に超能力者疑惑が浮上した今、ダミアンの今後の動向や、親子関係の変化にも要注目だ。 

 クラスメイトの前では、国家統一党総裁の息子として、男らしさやリーダーシップを発揮しつつ、父母や兄に気を使い、家族関係に孤独感や悩みを抱えるダミアン。かっこいいだけではなく、こうした苦悩する姿もまた共感を呼び、彼が読者を惹きつける魅力なのかもしれない。

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