『ヒロアカ』スピンオフがアニメ化へ 本編と真逆の“非合法ヒーロー”を描く『ヴィジランテ』の魅力とは
4月7日より、春アニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』(以下『ヴィジランテ』)が放送スタート。同作は『僕のヒーローアカデミア』のスピンオフにあたり、“非合法ヒーロー”の活躍を描いた物語となっている。その魅力について、本編の設定と比較する形で紹介していこう。
同作の主人公・灰廻航一は、「滑走」という個性を持つ普通の大学生。そんな彼がナックルダスターと名乗る謎の人物に引きずり込まれる形で、自警団「ヴィジランテ」の一員として活動していく……というのが大まかなストーリーの流れだ。ここで重要なのは、彼らのヒーロー活動が“非合法”ということ。
そもそも『ヒロアカ』の世界観をおさらいしておくと、同作に登場するプロヒーローは国家から収入を受け取っている公務員の一種だ。免許制となっており、厳しい審査を潜り抜けた者だけがヒーロー活動の認可資格を得ることができる。
そしてヒーローたちは国民からの支持率や社会貢献度によって「ヒーロー・ビルボードチャートJP」というランキングで格付けされ、そのスコアを競い合っている。いわば力を振るうことが国によって合法的に認められ、推奨されてすらいる特権的な存在だ。
しかしそんな世界にあって、『ヴィジランテ』の主要キャラクターたちはヒーロー免許をもっておらず、力を振るうことは許可されていない。そのため一般人からすればヒーローどころか、ヴィラン扱いされてもおかしくない立場にある。
実際にナックルダスターは、初対面の航一に対して「悪党を殴るとスカッとするぞ!!」と笑顔で言い放つような危険人物。さらに怪しいドラッグについての捜査という名目のもと、一般人を平気で殴り、「ちゃんと怪しい奴から順番に殴っている チャラチャラした若造とかな」と語ってみせるなど、公序良俗から大分逸脱している。
世間からもその存在を懸念されているようで、第2話ではイレイザーヘッドがナックルダスターを不審人物として取り締まろうとする場面も描かれていた。
とはいえ、同作の面白さはまさにこの点にある。ナックルダスターたちは、国家権力の後ろ盾抜きで、誰にも正当化されない“正義”を模索する点で、むしろプロヒーローよりも純粋なヒーロー活動とも言えるからだ。いわば同作は、「正義とはなにか」について、『ヒロアカ』とは別の視点で鋭く問いかける作品となっている。