50年前の少女漫画が怖すぎる……トラウマ少女漫画『毛糸のズボン』発売直後に重版決定
2月10日に筑摩書房より発売された子『毛糸のズボン――直野祥子トラウマ少女漫画全集』(ちくま文庫)が発売直後からSNSを中心に反響を呼び、発売4日後に2刷、11日後に3刷の重版が決定した。
参考:【漫画試し読み】出かける前にアイロンの電源を切っただろうかーー70年代の“トラウマ少女漫画”が怖すぎる
いちばん恐ろしいのは、人間――。偽り、裏切り、すれ違い、取り返しのつかない過ちなど、人間心理をえぐるような異色のサスペンス作品で 70 年代の少年少女たちを震え上がらせた直野祥子。
本作品集は、1971年から1973年にかけて少女フレンド、なかよし(ともに講談社)で発表されたものから14作品を収めている。「はじめての家族旅行」の文庫収録は過去にもあったものの、いずれの作品も未単行本化。誰もが思い当たる不安を増幅し、じわじわと心を侵食するような名作ばかりで、直野自身による全作品の自作解説も付いている。
本書の刊行にあたって文学紹介者の頭木弘樹は編集協力を、辺境劇画復刻レーベル「よどみ舎」主宰のまんがゴリラは資料提供などを協力。作者の実家に保存されていた当時の原稿は阪神淡路大震災でほぼ全て消失されていたため、本書紙面は掲載誌から起こしたものになっている。
■著者・資料提供者からのメッセージ
長年マニアックなファンが探求し、掲載誌の古書価格は軒並み高騰。
一部の好事家に密かに愛されてきた少女漫画界におけるパンドラの函ともいうべき作品たちが遂に再び世に放たれる時が来た。
直野祥子は 1968年ガロでデビュー作「実験」を発表後、少女漫画誌を経て青年誌やレディコミなどで活躍。
本作はそのうち1971年から73年にかけて少女フレンドとなかよしに掲載された作品を一冊にまとめたものである。
この本には怪物も殺人鬼も出てこないが、些細なミスや判断の誤りが取り返しのつかない事態を招き悲劇的な結末(BAD END)を迎える様はある意味誰にでも現実に起こり得るからこそ恐ろしく、当時の読者たちを震え上がらせた事は想像に難くない。
50数年ぶりに復活した「毛糸のズボン」、その手触りを是非実際に自分で確かめてみてもらいたい。
――まんがゴリラ
■著者プロフィール
直野 祥子(なおの・よしこ):漫画家、イラストレーター。神戸・六甲で生まれ、夙川で育つ。1968年、「ガロ」の新人募集コーナーで「実験」が入選し、漫画家としてデビュー。1971年~1973年にかけて少女漫画雑誌「なかよし」「少女フレンド」誌上にて、人間心理をえぐるような異色のサスペンス作品の数々を発表、そのショッキングな内容は当時の読者に多大なトラウマを植え付けた。以降は「ビッグコミック」や「女性セブン」、「女性自身」などで活躍を続けるも1995年の阪神淡路大震災で被災し、初期の原稿はほぼ消失。2005年、生まれ育った昭和30年代の夙川での家族の暮らしを絵日記として記した『夙川ひだまり日記』を小学館スクウェアより出版。
■書誌情報
書名:『毛糸のズボン ――直野祥子トラウマ少女漫画全集』(ちくま文庫)
著者名:直野祥子
発売日:2025年2月10日/頁数:336 頁/定価:1,100 円(税込)/判型:文庫判
ISBN:978-4-480-44009-9
URL:https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480440099/