渡邉恒雄はいかにして”メディアのドン”となったか? ノンフィクション作家・魚住昭に聞く、その権力の源泉

「保守的な政治思想を持った人で、いまの自民党のように戦前・戦中の日本を美化するような、歴史修正主義者ではなかった。保守のなかでもどちらかというとリベラルな歴史観を持っていたことは、相反する思想を持つ人々にとって救いだったかもしれません」(魚住氏)

 マスメディア、野球界から政界に至るまで巨大な影響力を持ち、フィクサーとも呼ばれた渡邉恒雄氏が亡くなり、至上命題として掲げ続けた「1000万部」も2024年3月現在で598万部(日本ABC協会調べ)にまで落ち込んでいる。また12月17日には、米ウォールストリート·ジャーナルの発行元であり、経済関連の情報発信に定評のあるダウ・ジョーンズとの連携を発表するなど、大きな変革期を迎えていると言っていいだろう。

「渡邉さんが『1000万部を死守する』と必死になって訴えていた当時から発行部数はほとんど半減し、紙の新聞の影響力も半減していると痛感します。私たちの活動領域だった雑誌の世界もすでに惨憺たるものですが、渡邉さんの死去は、オールドメディアの終焉を象徴する出来事かもしれません」(魚住氏)

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