『らんま1/2』は甲殻類、小惑星に「恋アス」……漫画由来の命名続く新発見、他には何がある?
■小惑星の名称が「きらら」の漫画由来に
小惑星などの未発見天体の探索を、研究者と一般の市民・学生の方たちが協力して行うウェブアプリケーション「COIAS(コイアス)」によって発見された3つの小惑星が、いずれも、高校生が小惑星を探す漫画『恋する小惑星(アステロイド)』にちなんだ名前が付けられ、話題を呼んでいる。
アニメ化もされた『恋する小惑星』は「まんがタイムきららキャラット」(芳文社/刊)で今年8月まで連載されていた4コマ漫画。単行本は全6巻。舞台は星咲高校の地学部で、主人公・真中あおが自ら発見した小惑星に“あお”と命名することを夢見る漫画。
3つのうち2つは、主人公の名前から“Ao(あお)”と命名。発見者らが提案したもので、今年9月に国際天文学連合(IAU)が正式に認めた。そして、11月には他の2つの名前も“Quro”と“Hoshizaki”に決定した。
まず、“Quro”は『恋する小惑星』の作者・Quro氏の名前に由来するもの。そして“Hoshizaki”は、作品の舞台でもある星咲高校から名づけられた。作品にちなんだ名前が正式に決定したことで、SNS上ではファンを中心に大盛り上がりとなっている。
COIASはNPO法人「日本スペースガード協会」や会津大が開発したウェブアプリがベースとなっており、これまでに約18万個以上の新しい天体を発見するなど、市民・学生の天体愛好家によって実績が積み重ねられている。
■『らんま1/2』にちなんだ名称も
昔から理系の分野には漫画・アニメファンが多いといわれる。その影響であろうか、こういった小惑星の名前はもちろん、新しく発見された動植物などに漫画由来の名前、もしくは漫画のキャラクターなどの名前が付けられることは珍しくない。
例えば、今年新種として報告された生物“ランマアプセウデス(Apseudes ranma)”は、漫画『らんま1/2』の主人公・早乙女乱馬にちなんで命名された甲殻類である。『らんま1/2』はリメイク版が今年から放送開始し、ブームが起こっているため、まさに狙ったかのような素晴らしいタイミングだ。
ランマアプセウデスの最大の特徴は、同時的雌雄同体あることだ。一方、早乙女乱馬は男性なのだが、女性にもなってしまう。こうした生物の特徴とキャラの特徴とが非常によく似ている問うことで、命名されたという。なお、原作者の高橋留美子氏公認とのことである。
他にも「ドラえもん」に登場するのび太の名前が、中国で発見された新種の肉食恐竜、エウブロンテス・ノビタイとして命名されたケースもある。
漫画・アニメが学術界に与えている影響は計り知れない。『鉄腕アトム』や『機動戦士ガンダム』を見てロボット技術者を志した人は多いというが、今後は天文学や生物学の分野にも、漫画やアニメの影響を受けた研究者が増え、ユニークな命名がなされるかもしれない。