浦沢直樹、40年前のキャラクターを何も見ずに描ける? 『パイナップルARMY』電子書籍化を記念する動画がスゴかった

 漫画家の浦沢直樹氏が11月29日、公式YouTubeチャンネル「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」を更新。自作の電子書籍化プロジェクトが、連載デビュー作の『パイナップルARMY』をもって完結することを記念した動画で、同作について裏話がじっくり語られた。

【完全即興】何も見ずに"あのキャラ"を描けるのか?「パイナップルARMY」裏話も!

 2021年4月、「『漫画』を起点にした様々な動画を発信する」として開設された「浦沢チャンネル -URASAWA CHANNEL-」。動画の公開本数こそ多くないが、『MONSTER』Dr.テンマをモチーフにスクリーントーンの貼り方を解説したり、『MASTERキートン』風のコマ割りを自ら描画して見せたりと、漫画ファン垂涎のコンテンツを提供してきた。作品の電子書籍化が進むごとに裏話が語られるのもファンの楽しみで、今回取り上げられた『パイナップルARMY』も1985年〜88年の連載作品でありながら今も愛され続けており、関心が集まっている。

 連載に至るまでの裏話は実際に動画を観ていただくとして、作品のファン以外も楽しめるのが、何の資料も見ずに、今の浦沢氏が“あのキャラクター”たちを描いたらどうなるのか……という検証企画だ。「受けて立ちますよ」と強気の浦沢氏だが、自身の手を離れてから長い時間が経過しているキャラクターも、正しく描くことができるのか?

 最初に取り上げられたのは『パイナップルARMY』の主人公、ジェド・豪士。40年近く前の作品だが、「描けなかったらヤバいでしょ」と呟き、浦沢氏はペンを走らせていく。作品と見比べて、自身では下顎の逞しさがやや欠けていると評価していたが、仕上がりはさすがの一言。無骨で優しい、あのジェド・豪士が令和によみがえった感動があった。

 続いて、同じく『パイナップルARMY』より、豪士とつかず離れずのヒロイン・ジャネット。『YAWARA!』の連載前で、女性キャラクターを描くことに不慣れだったことから、当時の絵を見るたびに「嫌な気持ちになる」のだという。完成したのは、やや大人のイメージに進化したジャネット。オリジナルとニュアンスは違うが、浦沢氏は「いろんな傷を背負っているにしては、当時の浦沢くんの描く女性の幅が狭かった」「こっちのほうがいい」と評価していた。

 『パイナップルARMY』以外にも、『YAWARA!』の加賀邦子、『MONSTER』のヴォルフガング・グリマー、『20世紀少年』のエロイム・エッサイムズメンバーと、連載終了後に描く機会が多かったとは思えない、絶妙なキャラクターたちがお題に。最後には、「描いてほしいキャラクターがいれば、コメント欄にリクエストをいただければ描きますので、ドシドシお寄せください!」と気前のいい言葉もあったので、浦沢作品のファンは動画を確認の上、好きなキャラクターの名前をコメントしてみてはいかがだろうか。

■参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=uqf1rQpMRnU

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