『ゲッターロボ』50周年 日本ロボット史における“画期的”な功績を振り返る注目シリーズ しげる評 

■玄光社の新マンガレーベル「ムーブオンコミックス」

玄光社の新マンガレーベル、MOVE ON COMICSから刊行されたゲッターロボの作品

 2024年で誕生から50周年となった「ゲッターロボ」シリーズ。その歴史を語る上で欠かすことのできないマンガ『ゲッターロボ』の作品たちが、玄光社の立ち上げたレーベル「ムーブオンコミックス」から連続刊行されている。

  1974年からテレビアニメとして放送された『ゲッターロボ』だが、同時期に『週刊少年サンデー』でも連載されている。このマンガはテレビアニメ版とは異なるストーリーが描かれ、バイオレンス描写に関してもより過激なものとなっている。初代『ゲッターロボ』から『ゲッターロボG』に続き、『ゲッターロボ號』、『真ゲッターロボ』、『ゲッターロボアーク』へと連載を辿り、これらの作品は一連のストーリーとなっている。

  そんな壮大な作品群だが、マンガ『ゲッターロボ』にはまだゲッター線に関する掘り下げもなく、ストーリーは複雑でなくゲッターロボ初心者も手に取りやすい。太古の昔、地球に降り注いで恐竜を絶滅させたというゲッター線が原因で、地下へと追いやられたハチュウ人類。長い時間をかけて高度な知能を身につけ「恐竜帝国」を作り出した彼らは、地上に対して再侵攻を開始。人類は未知の脅威に晒されていた。

  ハチュウ人類に対抗するため、早乙女研究所の早乙女博士はゲッター線をエネルギーとするスーパーロボット「ゲッターロボ」を開発する。しかしゲッターロボはあまりにも過激な性能を持ち、パイロットには壮絶な負荷がかかるため、常人では操縦不可能。肉体的にも精神的にも高度な資質を持つ人材を探す早乙女博士は、脅威的な身体能力を持つ空手家の少年・流竜馬、学生運動のリーダーであり革命を目指すテロリストである神隼人、そしてゲッターロボのパイロットを志願する柔道家の巴武蔵をパイロットとし、3人は恐竜帝国との激しい戦いに挑んでいく。

■日本のロボット史におけるエポック作品

『ゲッターロボ』より

  この『ゲッターロボ』は、日本のロボット史において大きなエポックとなった作品である。最大の特徴は「合体・変形」という要素をロボット作品に初めて持ち込んだ点だ。イーグル号・ジャガー号・ベアー号の3機のゲットマシンが合体し、その連結の組み合わせによって「空陸戦を得意とする、オールラウンダーのゲッター1」、「特徴的なドリルを武器に、高速で戦うゲッター2」、「ゲッターロボの水中戦形態で、大型ミサイルや伸縮するアームを生かした戦闘が得意なゲッター3」という三形態に変形する。単に合体するだけではなく、「敵の性質や戦う場所に合わせて各形態を切り替え、その特性を活かして戦う」、「状況によっては戦闘中に機体を分離させ、合体を解くことで敵の攻撃を避けたりする」というポイントが盛り込まれているのが特徴だ。

  また、ロボット作品に多く見られる「極めて強力だが搭乗者を選ぶ。開発者自らが搭乗資格のある若者を見つけ、スカウト・訓練してパイロットにする」、「パイロットとなるキャラクターは、一癖も二癖もある若者たち」というプロットを定着させた初期の作品でもある。

 『ゲッターロボ』と同じダイナミックプロによる前作『マジンガーZ』では、主人公の兜甲児がマジンガーZに乗る理由として最も強いのは、「開発者である兜博士から死に際にマジンガーZを託されたから」という点であり、ロボットものにはこういった血縁関係をベースとした搭乗理由を採用した作品も数多い。一方で「開発者によるスカウト型」でパイロットを集める作品も『大空魔竜ガイキング』や『超電磁ロボ コン・バトラーV』などがあり、ロボットものにおける「お約束」として定着している。このお約束を定着させたという意味でも、本作の果たした役割は絶大なものである。

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