あのちゃんが推す! 衣装デザイナー・MIYANISHIYAMA 意外すぎるキャリアとカワイイ服作りの極意を聞いた

■異なる素材を組み合わせて生まれる魅力

FRUIT ZIPPERの衣装もMIYANISHIYAMAがデザイン。『TEN #衣装 #アイドル #カワイイ #MIYANISHIYAMA』の中面より

――お話を聞いていると、本当にイレギュラーなデビューをなさったのですね。普段はどのように仕事を請け負っているのでしょうか。

MIYA:アイドルの運営の方よりもむしろメンバーの希望で、「MIYAさんの服を着たい」と言われて、直接依頼が来ることが多いのです。ありがたいことですね。ちなみに、運営の方は私のことを知らないパターンが多いです(笑)。

――具体的に衣装が形になっていくまでの過程を知りたいです。

MIYA:最初に「どんなものがいいですか」とデザインのヒアリングをしますが、基本的に私にお任せいただくことが多いです。「かわいい」「かっこいい感じ」などの大きいテーマの中で、自由にやってくださいと言われます。それをもとに私がデザインのラフを描き、生地を選んで、詳細なすりあわせをしたのちに制作に入って、納品となります。

――デザインするにあたり、心がけていることはなんですか? 企画のコンセプトはもちろんですが、着る人の性格を読み解くことも大事ですよね。

MIYA:例えば、熊は普段、生肉を食べていますよね。けれど何かの瞬間に雷に打たれるなどで焼かれた肉を食べたときに、おいしいと感じるかもしれません。このように、本来なら出合わなかったものに出合う瞬間こそが、感動的なのではないかと思います。同じことで、この生地とこの生地同士は合わないだろう、というものを組み合わせるのが好きです。

――すごく独特な例えですが、わかりやすい(笑)。異なる素材同士で組み合わせることで、創造性が生まれると。

MIYA:アイドルとかけ離れているビニールなどの素材や、本来は裏地に使う素材を前面にもってきたりします。意識しているわけではないですが、昔からそういうことが好きですね。それが、私のデザインのわかりやすい特徴になっていると思います。

――ヒアリングではどこまで詳しく聞くのですか。

MITA:唯一聞くのは、NGな箇所です。マッチングアプリとか結婚相談所もそうだと思いますが、理想をすり合わせるよりも、NGな箇所をすり合わせる方が結果的に早い。さきにデザインのラフを出してから、胸元を出したくないとか、そういう要望を聞きながら進めます。その流れを含めて、普通のデザイナーとやり方が違うのかな。

■私しか作れない1点ものの服をデザインする

恋汐りんご(バンドじゃないもん!)の衣装は赤と白の色彩を見事に取り入れたデザインに。『TEN #衣装 #アイドル #カワイイ #MIYANISHIYAMA』の中面より

――市販されている服と異なるのは、1点ものであるということですよね。1点ものだからこそできることや、難しいことはありますか。

MIYA:私は大量生産の服は作れなくて、挫折しているような気がします。私の周りで服を作っている人はいっぱいいて、ブランドとして成功してパリコレに出たり、アパレルとして成功していたりしている人がいます。それって凄いことですよね。デザインしたものが何百と作られるのですから、責任が重そうだなと思います。ただ私は長編よりも読切の小説をいっぱい作る方が向いている。今の仕事の仕方しかできないから、やっているのかもしれない。

――そうなんですね。MIYAさんがデザインした服が、ぜひ市販されてほしいです。

MIYA:量産の服には挑戦してみたのですが、興味がわかないというか、何着も同じ服を作るのは「私じゃなくてもよくない?」と考えてしまいます。あとは、できないので、やっていないんだと思います。たぶん、この先もやりません(笑)。

――MIYAさんの服なら、幅広い層に売れる気がしますけれどね(笑)。

MIYA:いえいえ、私は売れるものの目利きが苦手だと思うのです。コンビニで私が好きなパンとかおにぎりは、真っ先に廃盤になっていきます(笑)。私は毎回同じものを買うタイプなのですが、このパンすごくおいしい! と思ったパンがいつの間にかなくなる。マスに向けてのビジネスが向いていないんだと思いますよ。

――僕もそのタイプなのでよくわかります(笑)。MIYAさんが手がける衣装は一目でMIYAさんの作品とわかる。それでいて、着る人の個性を際立たせていますね。

MIYA:私は、服を通じて人のかわいさを引き出すお手伝いができたらいいな、と思っています。アイドルが着る衣装は、その人の顔やスタイルの長所を超えないようにしようと考えて作ります。

――個人とグループでは、デザインも変わってくるのでしょうか。

MIYA:私の中では大きくは変わらないんですよね。人数が多いなと思うくらいです(笑)。NG箇所を聞く作業が増えるだけでしょうか。ちなみに、グループでNG箇所が全員一致するパターンはないんです。一方で、胸を見せたい人、くびれを見せたい、ふとももを見せたいという要望もNG箇所と同じくらいあります。それらを盛り込んでデザインしていけば、自然と個性になっていきます。

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