野球漫画「主人公だけ」で仮想日本代表チームを組んでみた「野手・DH編」

  日本シリーズが終わったと思いきや、今年は第3回WBSCプレミア12が開催中。日本はグループBの中でどのような戦いを見せてくれるのか。目が離せそうもない。

 そんな野球熱がまだまだ続く中、漫画の主人公だけで野球チームを組むことは可能なのだろうか検証をしてみたい。  今回は「投手」「救援投手」に続き「野手」で仮想日本代表を組んでみる。

■「主人公」だけで日本代表を組んでみた「野手編」

  日本の野球文化において、花型は投手だがそれ以外のポジションの主人公もいる。各ポジションごとに野手としてまとめて紹介する。プレミア12はDH(指名打者)制なので、DHも挙げておこう。投打二刀流ができる、ポジションを三つ以上こなせる選手はユーティリティー部門で紹介する。なお、しつこいようだが繰り返すが選考対象は全員、野球漫画の「主人公」である。

■捕手(キャッチャー)

・山田太郎『ドカベン』

・茂野大吾『MAJOR 2nd』

・狩野笑太郎『バトルスタディーズ』

なきぼくろ 『バトルスタディーズ』(講談社)

・黒鉄八郎『ドラハチ』

  野球漫画の金字塔『ドカベン』の主人公、山田太郎が一番手だ。これについてはほぼ異論が出ないのではないだろうか。守備の要で守備負担の重いキャッチャーでありながら、最強クラスの強打者で、高校球界最強のスラッガーとして鳴り物入りでプロ入りし、プロでも三冠王を初め数々の打撃タイトルを獲得している。キャッチングの技術も高く、リードなどのインサイドワークにも優れ、桁違いの強肩で盗塁阻止能力も高い。鈍足を除けば欠点らしい欠点が無く、真面目で温厚な人格者なので癖の強い投手陣とのコミュニケーションも問題無いだろう

  大吾、狩野、八郎もキャッチャーの主人公だが、大吾は中学レベル、狩野は高校レベルなので山田を差し置いて起用する必要も無いだろう。
八郎は下位指名でプロ入りしたばかりの高卒ルーキー。インサイドワークには光るものがあるが、発展途上で攻撃力に難がありこちらも山田を差し置いて起用する理由は無いだろう(山田と一緒にいたら色々と学べそうだが)。

■一塁手(ファースト)

・花形満『新約「巨人の星」花形』

村上よしゆき、梶原一騎、川崎のぼる『新約「巨人の星」花形(1)』(講談社)

・香山雄太郎『愛しのバットマン』

 ファーストはスラッガーのポジションだが、主人公がファーストとなるとこれは少ない。
 『新約「巨人の星」花形』はオリジナルの『巨人の星』で主人公、星飛雄馬のライバルだった花形満を主人公に、舞台を21世紀に移してリメイクした作品。少々反則気味だが、一塁手の主人公が少ないため、ご容赦いただきたい…。攻守に優れた選手で、打者としては確実性とパワーを兼ね備えている。『新約「巨人の星」花形』では、肩の故障で一塁手にコンバートされた設定だが、肩の強さは一塁手に求められない能力なので、アスリート能力の高い花形が一塁手になっている理由が説明されているのも良い。

  香山も同じく右打ちのスラッガータイプ。銀行員のような風貌で、風貌通りに真面目な性格だが、まじめすぎる性格が災いして調子にムラがある。このチームには長打力と確実性を兼ね備えた打者が複数いるので、下位打線に回すことになりそうだ。精神的に楽に打てていいかもしれない。左翼手もできるので、レフトにもまわせる。

■二塁手(セカンド)

・四方二三矢『キャットルーキー』

丹羽 啓介『キャットルーキー (1) 』(小学館)

『キャットルーキー』第二部の主人公、四方 二三矢は珍しい地味なイメージの強い二塁手の主人公。

 身長165cmと屈強な大男だらけのプロ野球選手ではひときわ小柄な体格だが、打撃スタイルはスラッガーのそれで、当たると場外まで飛ばすピュアパワーを持っている。打席での駆け引き、ケースバッティング、走塁判断、守備のポジショニングなど全般的なベースボールIQにも優れている。体格もプレースタイルも現実世界のホセ・アルトゥーベ(168cm)を思わせる。

■三塁手(サード)

・猿野天国『Mr.FULLSWING』

 三塁手もスラッガーのポジションなのだが、こちらも主人公が少ない。『Mr.FULLSWING』はギャグ漫画だが、ご容赦いただきたい。天国は野球のルールを理解しているか怪しいのが難点だが、いかにもギャグ漫画的な規格外のパワーの持ち主。ギャグ漫画補正で意外な活躍をしてくれるかもしれない。一塁も守れるので一塁にもまわせる。

■遊撃手(ショート)

・山田太一『ペナントレース やまだたいちの奇蹟』

こせきこうじ『ペナントレース やまだたいちの奇蹟(1)』 (コアミックス)

・黒松冬二(『ショート黒松』)

 前述のとおり、ショートはアメリカや南米の野球強豪国では花形のポジションなのだが、日本では専守防衛タイプが多く、脇役扱いであることが多い。

  『ペナントレース やまだたいちの奇蹟』の主人公・山田太一は野球漫画では珍しい強打のショート。エラーは多いものの守備範囲は広く、確実性に欠けるものの当たると飛ぶ長打力がある。確実性には欠けるが、このチームにはパワーと確実性を兼ね備えた選手が他にいるので、下位にまわすことになるだろう。下位で楽に打たせると意外性を発揮しそうである。

 『ショート黒松』の主人公・黒松冬二はいかにも日本的な専守防衛タイプのショートで、主人公としては珍しいタイプの選手。太一の守備は安定性に欠けるので、守備固めのオプションとしてベンチ要因にはいいだろう。経験豊富なベテランなので精神的支柱としての役割も期待できる。

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