寺内康太郎×村田らむ『フェイクドキュメンタリーQ』を語る 「錯覚してしまう演出がQの魅力なのかも」
臨場感ある映像を撮影する
さて、上映後は2人のトークショーが展開された。寺内監督が「恐ろしさの方が映像だと際立つんですよ。かわいそうだと思っていた人が、どうやらそうではないぞと思える」と語ると、村田氏もこう応える。
「私もインタビューしているとちょっとおかしいなという人はいますからね。今回の映像はフィクションなのに、オチがない。Qの映像は、どの話も変な感じで終わるので、本で読んでも面白い読後感があるなと思いました」
寺内監督は、ノンフィクションのような臨場感ある特殊な撮影方法を使っているため、「フェイクだと言っているのに『役者だ』『フェイクだ』と言ってくる人もいる」と苦笑。「現実なのか非現実なのか、錯覚してしまう演出がQの魅力なのかもしれません。視聴者も凄い人たちが多いので、リアリティのある映像の制作には力が籠りますね」と語った。
村田氏もこう続ける。
「Qの物語では、友人が死んでいた場所なのに人がカラッとしていたりするのが、ものすごくリアルなんです。というのも、現実にもそうなることが多いんですよ。だからリアリティがあるし、リアリティがない部分も含めてリアリティがあると思って楽しんでいます」
Qの4人ってどんな関係性?
ちなみにQのメンバーは4人で構成されているが、会うことは稀だといい、謎についても答え合わせをしないようにしているとのこと。過去、全員で答えが一致した時は3回しかないそうだ。あくまでも情報や作業を分け、制作しているとのこと。こうした手法で制作されることで、「見る人がそれぞれの考えを持てるようにしているのが、Qの魅力」と寺内監督。
「初めてファンと一緒に上映会を行うことができて、本当に嬉しいですね。いつかイベントができたらいいねと言っていたのが現実になり、しかも大きなスクリーンで見れて、感無量です。Qの残る3人がいつか人前に出てきてくれたらいいなと思っています(笑)」
トークショーの後は、寺内監督からサイン本の手渡しがあり、訪れたファンは満面の笑みとなっていた。なお、「Mother」の謎については寺内監督の口からは語られることがなかった。いつか、イベントで一連の映像の謎について言及されることはあるのだろうか。次回の開催も楽しみにしておきたい。
■書籍情報
『フェイクドキュメンタリーQ』
著者:フェイクドキュメンタリーQ
価格:1540円
発売日:2024年7月25日
出版社:双葉社