『呪術廻戦』虎杖と宿儺の問答から何がわかる? 仲間たちの死を乗り越えて辿り着いた“結論”

野薔薇の復活は絶望的になった?

  その一方、虎杖が宿儺に対して自分の考えを語る場面では、それぞれのコマに死者たちの姿が描かれていた。祖父に始まり、吉野順平、七海建人……といった具合だ。虎杖が「あらゆる命に価値がある」と考えられるようになったのは、彼らと関わってきた記憶が胸のうちに残っているからだろう。

  多くの仲間を失い、そのたびに自分を責めてきた虎杖だが、今度は喪失を通して精神的な成長を果たすことができた……ということなのかもしれない。そう考えると、思わず心を打たれてしまう名シーンだ。

  なお、この場面を目の当たりにして、あらためてショックを受けている読者もいるようだ。死者たちの並びのなかに、釘崎野薔薇の姿があったからだ。

  野薔薇といえば、「渋谷事変」にて真人の術式「無為転変」を受け、長らく物語から退場しているキャラクター。呼吸も脈も止まっていたものの、傷を悪化させない術式をもつ新田新の処置を受け、「助かる可能性は0じゃない」と言われていた。

  しかしそれ以降、一切生死に関する描写がなく、100話以上が経過している。そんななか、今回“死者としての野薔薇”が描かれたことで、復活の可能性が絶望的になったと受け取る人もいるようだ。

  とはいえあくまで今回の演出は、虎杖の目線で死亡したキャラクターを描いているだけ……とも解釈できる。まだ復活の線が完全に消えたわけではないだろう。

  もしすべてが終わった後、野薔薇が再登場するとしたら、見違えるように成長した虎杖とどんな会話を交わすのだろうか。予想もつかない展開が続く『呪術廻戦』のクライマックスを、最後まで見届けていきたい。

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