『ブルーロック』世界を蹂躙する王の姿に刮目! 日本が誇る天才MF糸師冴の魅力に迫る

対戦相手に絶望を、日本サッカーの未来に希望を与える存在

 本作において重要な意味を持つブルーロック選抜対U-20日本代表の一戦で、冴はU-20の一員として試合に出場する。試合開始早々に、角度のない所から強烈なドライブをかけたシュートを突き刺し先制点をもたらす。祝福に駆け寄るチームメイトに対しても手厳しく、自分より得点能力の低い人間を自分はストライカーとは認めない、と冷たく言い放つ。対戦相手はおろか、チームメイトでさえも自分の基準に満たない場合は容赦なく切り捨てるドライさもまた冴らしさと言える。

 ブルーロック選抜とのゲームでは、冴の実の弟である糸師凛との対決にも注目して欲しい。元々は同じチームでサッカーに明け暮れる日々を送っていた糸師兄弟。世界一のストライカーになることを常々口にしていた冴は、弟の凛にとって憧れの対象だった。そんな兄が世界一のクラブ「レ・アール」の下部組織でプレーをすることになり日本を旅立つことになる。

 それから4年が経ち、日本に一時帰国していた冴は凛と再会し、自分の夢は世界一のストライカーから世界一のミッドフィルダーになることに描き変えたことを告げる。

 世界中から集まった才能の原石たちと対峙したことで、世界一のストライカーになることを諦めた末の方向転換だと凛は捉え、自分の夢を捻じ曲げた冴に失望する。 

 その直後には冴との1対1に敗れてしまい、1度はサッカーをすること自体を諦めようとするも、自分の人生を狂わせた冴を倒す為に再び立ち上がり復讐に燃える凛との壮大な兄弟喧嘩も本作の大きな見所だ。

 ブルーロック選抜との試合後の冴は、この国にはロクなストライカーなんて生まれないと思っていた自身の考えを改めることとなる。強烈なエゴを持ち合わせたストライカーの誕生こそが、日本サッカー界が世界を驚かせる結果を残すことに直結するのだと確信しているようですらあった。

 近い将来、糸師冴が心から満足できる日本の姿を見ることができるかもしれない。そしてその中心には、世界一のミッドフィルダーの座を手にした冴が鎮座していることだろう。そんな夢の続きが描かれる瞬間をを心待ちにしたい。

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