【漫画】超ハイスペックな幼馴染ふたりに挟まれた女子同士の三角関係、その行方は? キュートで熱い読切漫画に注目

小春を“普通の女の子”に見せるための工夫

――『ハイスペック幼馴染とハイスペック幼馴染による頂上決戦』制作の経緯は?

矢嶋:「三角関係をテーマにしたラブコメを百合で作りたい」と思い、いろいろな組み合わせを考えた結果、本作の形になりました。最初は“ベタな幼馴染とベタな転校生”で喧嘩させるつもりだったのですが、それではひねりがないため“系統は違うが能力は互角の幼馴染同士”が主人公を取り合う設定にしました。

――なぜベタな幼馴染とベタな転校生の“バトル漫画”にしたのですか?

矢嶋:男の子が主人公の王道ラブコメなんかを見てると、攻略対象である幼馴染や転校生の女の子がみんな可愛くて「この子たちがくっついたほうが嬉しくない?」といつも思っていました。「じゃあそういう物語を作っちゃおう」と思い立ったのがことの発端です。

――主人公が傍観者に回る、というのは面白い切り口でした。

矢嶋:「小春と夏芽と張り合ってるうちに仲良くなる」という想定だったのですが、それでは渦中にある冬椰が霞んでしまうと思いました。そこで3人が満遍なく活躍できるよう、「攻略対象2人の仲を楽しむ幼馴染が真の主人公だった」という展開にしました。

――3人のデザインはどのようなイメージで決めましたか?

矢嶋:白黒漫画と言うこともあり、パッと見でも人となりがわかる必要がありました。特に冬椰と夏芽はスペックが拮抗しているため、体型や髪型などはかなり差別化しています。逆に小春は2人の間を取り持つ感じでデザインしました。実は声優ユニット・TrySailのお三方の雰囲気を参考にしています。

――正直、小春も可愛らしいビジュアルをしていました。小春を“普通の女の子”としてデザインするのは難しかったのでは?

矢嶋:小春はいわゆる「普通と思っているのは自分だけ」というキャラです。尺の都合でカットしましたが、ハイスペックである幼馴染の2人が固執するだけの魅力はちゃんと備わっており、見た目も少し華やかです。ただ、その辺を強調すると共感性が欠けるため、自己評価が低く少し拗らせた性格にしています。“自分より可愛い女の子と並んで歩いている時のいたたまれなさと誇らしさ”は多くの人が感じた感情ではないでしょうか。

――テンポ感が良く、笑えるやり取りが面白かったです。

矢嶋:あまり間延びしないようにシンプルな言い回しや会話になるように気を付けています。また、実際に声に出してセリフを読み上げた時の語感を大事にしています。側から見るとかなりキモい作業です。

――「人間関係叙述トリック」「お互いに自分と小春の2人が可愛いと思ってる」など、セリフではない補足のワードも好きでした。

矢嶋:担当編集さんに最初に見てもらうネームがかなりの殴り描きでわかりにくいので、補足と言う意味もかねて書いたものをそのまま本番にも引っ張った感じです。どうせなら印象に残る言い回しにしたくて、状況を要約するのに加えて、ちょっと捻った感じのワードにしています。

――今後の漫画制作はどのように進めていく予定ですか?

矢嶋:仕事の合間に描いていた長尺の漫画が完成したので、年内にはお見せできそうです。それ以外は特に予定がないのですが、現在進めている企画が通った際は改めてお知らせします。短くても良いので、単行本が出せるような連載をいつかやってみたいです。

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