『SPY×FAMILY』ダミアンは本当に国家統一総裁の息子なのか? デズモンド家の家庭事情を考察

※本稿は漫画『SPY×FAMILY』のネタバレを含みます。

 東西諜報員たちの情報戦が繰り広げられ、いよいよ物語が佳境を迎えている『SPY×FAMILY』。黄昏たち主要キャラの過去も明らかになる中で、未だ謎に包まれているのがデズモンド一家の人間模様だ。本稿では、ダミアンの言動や、アーニャに「へんてこ」といわしめた妻・メリンダとの関係性を掘り下げてみたい。

父親との面会で見せた畏怖の念と切ない子供心

 黄昏が遂行中のオペレーション〈梟〉。そのターゲットである東国の国家統一党総裁ドノバン・デズモンドは、アーニャのクラスメイト・ダミアンの父親だ。ダミアンがデズモンド家の子供であることに誇りを持っており、将来父親のような政治家になりたいと考えていることは様々なエピソードで確認できるのだが、特にその尊敬や畏怖の念が分かりやすいのが、コミック6巻「MISSION:37」のイーデン校での懇親会後の彼と父親の面会エピソード。

 まずダミアンは、皇帝の学徒(インペリアル・スカラー)として、懇親会に参加する兄デミトリアスにわざわざわ電話をかけ、懇親会後に父親と面会させてもらえないか取り計らってもらっている。というのも、父ドノバンは警戒心が強く多忙なため、この懇親会以外の学校行事で会えるチャンスがないのだ。

 さらに、ダミアンは次男のため、兄デミトリアスよりも父親との接点が少ない。というよりも、本作を読む限り兄デミトリアスとの関係自体も薄そうで、電話シーンでもかなり兄に気を使っている様子が描かれている。さらに、デミトリアスの返事も「伝えておく。だが期待はするな、父上は忙しい」という、弟との電話にしてはかなりそっけないもので、話が終わるとすぐに電話を切っている。

 また、懇親会当日のシーンでも彼と父親との距離感は鮮明に描かれる。学校の厳重警備に臆したダミアンが、父親は忙しいから俺なんかに構っているヒマがあるわけない、面会は断念すると言い出すのだ。国家統一党総裁の父親が自分のお願いなど聞いてくれるわけない、という自信のなさからくる言い訳なのだが、いくら権力者と息子の関係性とはいえ、クラスメイトのベッキー・ブラックベルが大手軍事企業CEOの父親から溺愛されている描写と比較すると、かなり親子関係の希薄さが目立つ。

 また、面会シーンでは自分とアーニャのトラブルに関する黄昏からの謝罪を断った父親に対し「デズモンドの人間が殴られたんですよ? それでいいのですか…⁉︎」「俺は屈辱だったんです」とショックを受けたことを告白。普段プライドの高いダミアンが珍しく子供らしさを出す、原作ファンとしてはグッとくるシーンなのだが、この言葉に父ドノバンの表情は冷たく変化。そして、それを察したダミアンはすぐさま自分の言い分を引っ込めている。気薄で独特すぎる父親や兄との関係性に、「この3人は本当に親子なのだろうか?」と疑いたくなる要素が満載なのだ。

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