『ハイキュー!!』は“非天才=凡人”の物語? 多くの読者に刺さった熱いセリフ3選

 年に1度、世界の強豪16ヶ国が集結し頂点を争う国際大会・バレーボールネーションズリーグ。先日行われた同大会で日本チームが男女共に準優勝という好成績を残したことも記憶に新しいなか、4年に1度の夏の祭典=オリンピックを前に大きな盛り上がりを見せている。

 日本においてそのバレーボール熱を牽引してきた要因のひとつが『ハイキュー!!』(古館春一)といっても過言ではないだろう。2024年2月に公開された『劇場版ハイキュー!!ゴミ捨て場の決戦』は興行収入110億円を突破し、連載終了から4年が経過した今も尚盛り上がりを見せている。

 本記事ではそんな『ハイキュー!!』本編の中で、多くの読者から共感を集めたであろう“非天才=凡人”に刺さる印象的なセリフを3つ紹介していきたい。

「平凡な人間だからこそ下を向いている暇なんてない」

 まずは主人公チーム烏野高校の元気印、2年生エース田中龍之介のセリフ「ところで平凡な俺よ、下を向いている暇はあるのか?」を挙げたい。

 メンタルお化けとあだ名がつく程に常にポジティブな印象でチームを盛り上げる役割の田中だが、そんな彼でも時にメンタルがマイナス寄りになることがある。人間である以上そんなタイミングがあるのは致し方ないことだが、ここで終わらないのが田中龍之介の田中龍之介たる所以である。

 チーム内でも、どのプレーをとっても自分が1番であるものは無いと冷静に自己分析している田中。夏のインターハイで全国2位の成績を収めた強豪、稲荷崎高校と対峙する中で中々スパイクが決まらず思うようなプレーができない状況でもすぐに上を向き、ボールを呼び込む。

 1セット目の最終盤の最も重要な場面でセットをもぎ取る超インナークロススパイクを決め吠える田中。どこまでも真っ直ぐな姿勢と、失敗からすぐに立ち上がりしっかりと結果を残す姿には自然と賞賛の拍手を送りたくなる、応援していて気持ちの良い選手だ。

「日々淡々とやるべきことを積み上げた結果」

 続いて伝えたいセリフは烏野高校が春高バレー全国大会2回戦で対戦した関西の強豪である稲荷崎高校バレー部主将、北信介の「毎日やんねん、ちゃんとやんねん」だ。

 常に冷静沈着で後輩達からは尊敬と少なからずの畏怖を集めている北。一見クールなキャラクターに見えるが実は苦労人でもあり、中学時代はユニフォームを貰うことが出来ず、試合に出始めたのは高校3年になってから。

 初めてユニフォームを監督から貰った際には人目を憚らず大粒の涙を流し周囲を驚かせたこともある。

 そんな北の信条は「反復・継続・丁寧」。練習で出来ていることは試合でも出来る。場の空気を締め、相手に傾きかけていた流れを戻すことが出来る稀有な存在だ。

 決して派手なプレーや優れた身体能力を持つ訳ではない北が、全国の大舞台でしっかりと結果を出す姿は我々一般人に日々大切にすべきこととは何かを教えられている気持ちになる。

 時間をかけて積み上げた1つ1つを「ちゃんとやる」北信介は、数多登場する作中の選手の中でも忘れられないキャラクターの1人だ。

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