フィギュア中古価格、高騰の理由とは? UFOキャッチャー景品とインバウンド需要から考える
興味深いのが、前述のようにこれらのプライズ向けフィギュアには「メーカー希望小売価格がない」という点である。数百円で入手できることもあれば数千円を注ぎ込んでも取れない時は取れない……。元々はそういう特徴のある商品だったものの、中古で流通する以上は値付けが必要になる。「希望小売価格と比較して高い/安い」という、ある種の基準値が存在する普通のフィギュアに比べると、プライズ向けフィギュアの価格設定はより流動的であり、おまけに国内外で広い人気のあるタイトルを題材としたものが多いことから、インバウンドでの需要も見込むことができる。「流通量が多く、希望小売価格が存在せず、誰でも知っているメジャータイトルを選んで立体化している」というプライズ向けフィギュアの特徴は、そのままフィギュア中古価格高騰の要因となっているのではないだろうか。
無論フィギュア中古価格の高騰には、そもそものフィギュアの高額化やあらゆるランニングコストの上昇といった要因も絡んでいるだろう。しかし、ことリユースショップを通した価格高騰という点に関しては、同じフィギュアでも商品形態や流通形態の異なる商品を同カテゴリーのものとして扱っている点も関係しているように思う。そしてそもそも、中古価格というのは「需要があればその分だけ上がる」というのが基本である。誰も欲しいと思わなければ勝手に値段は下がっていくし、「たとえ一億円でも欲しい」と思っている人が一人でもいれば、一億円が適正価格になるというのが中古流通というものである。
それでいえば、円安によって日本国内の商品を海外の通貨で買い漁りやすい状況が続く現在の状況は、フィギュアに限らず「外国人が欲しいと思う中古商品全般」の価格上昇をもたらすのではないだろうか。日本が外貨を稼ぐ手段としてコンテンツ産業がもてはやされるようになって久しいが、それによって日本人が日本製コンテンツを題材とした商品を買いづらくなるとするならば、随分と皮肉な話である。しかし今後もフィギュア中古価格の上昇が止まる可能性は低いだろう。