『怪獣8号』アニメで高まる“原作の解像度”ーー肉付けされたアニメオリジナルの描写を考察
キャラクター性を強調させるオリジナルセリフ
アニメオリジナルのセリフも作品をより一層引き立たせている。たとえば、第2話の亜白ミナと少女のシーン。このシーン自体がアニメオリジナルのものだが、印象的なセリフが呟かれる。怪獣に襲われボロボロになった少女に、「怪獣は私が全滅させる」と固く誓うミナ。そのとき少女が言ったのが、“優しい怪獣さんはやっつけないでくれる……?”というセリフだ。
少女はミナたち防衛隊に助けられるまで、カフカ(怪獣8号)が怪獣から守り通していた。非情な怪獣と同じ個体である怪獣8号にも恐れを抱いていたが、その中でもカフカの優しさがしっかりと伝わっていたことがこのセリフによってわかるのだ。
カフカもとい怪獣8号は原作でも度々ピンチを助ける優しさをもつが、今まで“優しい怪獣”という言葉を誰も口にしていない。それは、人を襲う怪獣と同類であるという恐怖や疑念、葛藤があるからだ。怪獣8号は人類の敵か味方かーー。もしかするとアニメでは、カフカの優しさを強調するかのようなセリフを入れることで、グレーゾーンの領域から"市民を守るヒーロー"としての可能性を覗かせたかったのかもしれない。
第3話からは、いよいよ防衛隊立川基地にて日本防衛隊試験が始まる。新たな顔ぶれが続々と登場するため、キャラクター同士の絡みも楽しみなエピソード。引き続きアニメオリジナル描写に注目しながら、彼らの活躍を見守っていきたい。