少年ジャンプ『魔々勇々』なぜ連載終了に? 芥見下々「転換点になり得る傑作」の高評価も……
なぜアンケートシステムとかみ合わなかったのか
他方で『魔々勇々』に関しては、「勇者と魔王」という題材が意外に世代や読者層を限定するものだったのではないか……という説もちらほら見受けられる。『ドラゴンクエスト』シリーズなどを始めとして、ファンタジーでは王道の設定ではあるものの、たしかに小中学生の読者なども含めて誰もが知っているとは断言しにくい。
冗談のような話だが、最近では『葬送のフリーレン』がアニメ化された際にも、エルフやドワーフといったファンタジーの定番設定が“世代によっては意外と伝わらない”という話題が盛り上がっていた。
とくにアンケートシステムで動いている『週刊少年ジャンプ』の場合には、少しでも間口を広げることが重要になる。そうした前提を考えると、そもそも「王道の設定をあえてひねる」という手法自体が、新連載には向いていないのかもしれない。あるいは多少凝った設定でも受け入れられる『少年ジャンプ+』であれば、長期連載が可能だったのかもしれないが……。
ともあれ作者はこれまでに『へのへのもへじと棒人間とパンツ』や『絵に描いた餅を描いた餅』などのすぐれた短編を発表し、そのたびに大きな話題を呼んできた。稀有な才能をもつ作家であることは間違いないので、次なる作品への挑戦を心から応援したい。
【写真】『魔々勇々』ボイスコミックを担当した人気声優とイメージカット