大学はコスパが悪いのか? 受験シーズンの今だから考えたい、大学に行く意味とは
■大学に行く意味はある?
昨今、一部のネット民の間で言われるようになっているのが、「大学に行くくらいなら、高卒で就職するほうがいいのではないか」という意見だ。特に、奨学金をもらってまで大学に行く必要はなく、かえって貧困を助長してしまうのではないか、ともいわれる。文部科学省が発表した調査によれば、高校卒業後の大学学部進学率は60%を超えている結果となっている。大卒の価値が下がっており、コスパが悪いのではないかという指摘もある。
例えば、奨学金を600万円もらって4年制大学を卒業するとしよう。卒業した時点で600万円の借金が残り、働きながら返済していく必要がある。ところが、高卒で就職した場合、仮に年に200万円の年収だとしても、4年間で800万円稼ぐことができる。そのうち、多くを貯金に回すことができるはずだ。ということは、4年間の間に大卒は貯金ができないうえ、奨学金を借りた場合は多額の借金を背負うことになってしまうのである。
■ネットで最新の論文が読める
また、かつて大学でなければ学べなかったことは、今やネットで多くを学べるようになった。検索機能をフル活用すれば、論文も読むことができるし、地方にいながらも学問に触れることができる。多くの人はこうしたネットの恩恵を使いこなしていない。大学に行かないと最先端の学問が学べない――というのは、実はかなり古い感覚なのだ。それに、堀江氏が言うように、適当な授業をしている教授は非常に多いのである。
大学を卒業しても安定した収入が保証されているわけではなくなり、年功序列制も崩壊しつつある現在、わざわざ就職のために大学に行く意味は考える必要がありそうだ。具体的にやりたい研究があって大学に行く、と言うのであればわかる。しかし、大学で遊ぶため、何も目的がない、などの理由で行くことはおすすめできない。ましてや奨学金を借りてまで進学すると、将来の自分を苦しめることになりかねない。
いよいよ本格的な受験シーズンが始まる。大学に進学すると、とにかくお金がかかる。地方在住者が東京の大学に通うときは、費用面で何かとハンデが大きい。アパートの家賃がかかるし、食費、光熱費なども馬鹿にならない。このご時世、親の仕送りだけで何とかなっている大学生は少ないといわれる。
繰り返すが、大学進学は人生でもかなり高い“買い物”である。そんな大学に「なんとなく」進学しようとしている人は、コスパについても真剣に考えてみてほしい。あなたは大学に行ってまで、やりたいことはあるだろうか。受験し、進学する意味を考える機会を設けてほしいものである。