『ルリドラゴン』なぜ熱狂的ファンが多い? 「ジャンプで日常系マンガをやる」という新しさ

  約1年半にわたって休載が続いていた『週刊少年ジャンプ』(集英社)の『ルリドラゴン』が、2024年3月より連載再開することが明らかとなった。告知ポストはすでに3.5万件以上もリポストされており、今でもかなり話題性が高い作品であることが伝わってくる。

 なぜ同作はここまで多くのファンに連載再開を熱望されていたのか。その理由の1つとしては、ジャンプマンガではほとんど見られないジャンルに挑戦した“斬新な作品”だったことが挙げられるだろう。

 『ルリドラゴン』は、『週刊少年ジャンプ』2022年28号から始まった眞藤雅興の連載。ある朝目が覚めるとツノが生えていた女子高生・青木ルリが、“実は人と龍のハーフだった”という事実に向き合っていくストーリーだ。

  連載開始から早々に大きな反響を呼び、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」の1位や「このマンガがすごい!2024」のオトコ編9位を獲得したり、LINEスタンプやボイスコミックなどの展開が始まったりと、一大旋風を巻き起こしたことも記憶に新しい。

  新連載としては異例のヒット作ということで、作品を読んだことがない人は「さぞかし波乱に満ちたストーリーなんだろうな」と思うかもしれない。しかし驚くべきことに、同作では世界を大きく動かすような出来事はほとんど何も起こらず、平穏な日常の延長線上のようなストーリーが展開していく。いわゆる“日常系”と呼ばれるジャンルに近いのだ。

  日常系は『らき☆すた』や『ひだまりスケッチ』、『けいおん!』などのヒットから定着したジャンルで、最近でいえば『ゆるキャン△』などが当てはまる。かわいらしいキャラクターが登場する4コマ作品であることが多く、『まんがタイムきらら』系列の雑誌が主な媒体となっている。

  しかし少年マンガ系の雑誌、とくに『週刊少年ジャンプ』ではほとんど日常系マンガが連載されることはなかった。だからこそ『ルリドラゴン』の登場は、大きな驚きをもって受け止められていた印象だ。

  女性が主人公で、“萌え”を感じさせるかわいらしい絵柄、そして波乱が少ないストーリー……。『ルリドラゴン』はいろいろな意味で斬新なジャンプマンガだと言える。

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