2024年も注目のギャンブル漫画『ジャンケットバンク』 物語を彩る個性派ギャンブラー5人を徹底解剖

絶対に敵に回したくないインフルエンサー・叶黎明

 叶黎明はギャンブラーらしからぬ風貌をしている。ハッキリ言ってしまうとあまり頭が良くなさそうで、賭場に紛れ込んだ子羊のように思えるが、侮るなかれ。観察力に長けた超実力派であり、絶対に敵に回したくないタイプの人間だからだ。

 なぜ敵にしたくないのかと言えば、まず性格に難あり。「常に自分を見てほしい」と考えるほど承認欲求が強く、自身が世界の中心だと思っているため、多くの人はギャンブル以前に振り回されてしまうだろう。自分にとって害か、無害かを常に見定めているせいか観察力は5人中トップクラス。相手の手捌きだけではなく考えまで読み取るなど、もはや読心術に近い。今までの戦いで黎明に心を見透かされ、恐怖を覚えた人々も多いだろう。

 伊藤班きっての高ランクプレイヤーだが、真経津の罠を見抜けず敗北。宇佐美班に敗れたことが敵(真経津)を激しく嫌うきっかけに……となるかと思いきや、この男、気に入った相手にはとことん友好的だ。対戦後は負けたにも関わらず真経津に興味を示し、ギャンブラー同士で交流を図るなど人懐っこい一面を見せた。自分が中心でいたいものの他者を受け入れる姿勢はあるので、想像よりは柔軟な人物なのかもしれない。

 普段は配信者として活躍しており、やっぱり「注目される」ことが大好き。わがままで自己愛が強いけれども、なんだか憎めない異色のギャンブラーだ。

自称善人、真の姿は狂信者・天堂弓彦

 本業は神父である天堂弓彦。神父が賭け事なんていいのか……と思った人もいると思うが、聖書は賭け事を咎めておらず、彼が賭場に出ることを罰する神はいないようだ。

 もっとも彼の場合は自分自身を神格化しており、「信仰するのは自分」という狂信者。己が神で善人だから悪を咎める。自分が世界の中心だと思っている点は、黎明とよく似ているだろう。一方で、懺悔した相手を健忘術数で死へと追い込み、失命しない場合は自らが手を下すなど、非道な行いは黎明の異常なレベルを超えている。

 嘘を見抜く目と、戦いの空気をかっさらう力に長けている天堂は自身の「偽」を異常性で隠し、真経津を追い詰める。少し煽られただけで口が悪くなるなど本当の顔をちょこちょこ見せていたが、最終的に狂信者である事実を暴かれ、敗北。真経津に読まれた瞬間冷静さを失う姿は「神」ではなく、哀れな人間だった。

 バトルにより大きなダメージを負い、命を失ったかと思いきや後にひょっこりと再登場。誰よりもアクが強くギャンブラー同士つるむタイプには全く見えなかったため、4人と仲を深めたのが意外すぎる。黎明と被るタイプなので、もしかすると彼も人間としての根っこはそこまで悪い奴ではないのかもしれない。

 一時期はランク落ちを経験したものの、階級が「1/2ライフ」に復活。底が知れない天堂だからこそ、どのような戦いを見せてくれるか期待が高まるキャラクターだ。

 カラス銀行で死闘を繰り広げるギャンブラーは、それぞれの個性と強みを秘めている。なかでも、今回取り上げた5人は成長を続ける注目株だ。いずれ全員が敵となる日がやってくるのを想像するだけで胸が痛むものの、いつ命を落としてもおかしくない戦いのなかで今現在はそれぞれが生存している事実に感謝をしつつ、活躍を見守りたい。

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