大空翼、坂本轍平、神谷蒼……人気サッカー漫画の主人公、年俸はどのくらい? 実在のサッカー選手から考察

■シーナ『VIVA! CALCIO』 約6億円

  2006年のカルチョ・スキャンダルなどをきっかけに相対的地位が低下してしまったイタリア1部リーグ・セリアAだが、『VIVA! CALCIO』の連載当時(1990年代)は紛れもない世界最高のプロリーグだった。連載当時、日本人がセリアAで活躍するなど完全な絵空事であり、中田英寿氏が絵空事を現実にするにはもう数年の時間が必要だった。

  当時のスター、ディエゴ・マラドーナ氏の全盛期(ナポリ時代、1990年代の前半)の年俸が6億円程度とのことなので、『VIVA! CALCIO』の主人公・シーナも全盛期には同程度か少し下ぐらいは稼いでいたのかもしれない。

■高杉和也 『俺たちのフィールド』数億円

 『俺たちのフィールド』の主人公、高杉和也も最後はセリアAのフィオレンティーナで主力選手として活躍していた。和也は純粋なオフェンブプレーヤーではなく、ユーティリティプレーヤーだったので、評価は違っていただろうが、少なくとも億単位の年俸は受け取っていたことだろう。

■嵐木八咫郎『カテナチオ』約300〜400万円

  時代は変わって現役連載作品『カテナチオ』の主人公で、イタリアの一部リーグFCオリヴェーロ(架空のクラブ)に所属する嵐木八咫郎はどうだろうか?

  嵐木はまだ駆け出しの選手であり、クラブの育成チーム(U-19チーム)に所属している。イタリアの名門・ユベントスのセカンドチームは3部リーグにあたるセリエCの所属である。強豪ではないオリヴェーロの育成チームはもっと下のカテゴリーのリーグかもしれないが、参考程度にはなる事実だ。残念ながらセリエCの返金年俸はわからなかったが、日本の3部リーグにあたるJ3は平均年俸約300〜400万円とのことだ。

■千明明『Mr.CB』不明

 『Mr.CB』の主人公、千明明は日本国内の3部リーグ所属クラブの新人選手なので、この範囲の下限のほうの年俸だろう。セリエCの平均年俸がどの程度か不明だが、J3よりも下ではないだろう。(高額でないことは間違いないが)

 ほかのトップディビジョン所属ではないキャラクターはどうだろうか?珍しいゴールキーパーを主人公に据えた『蒼のアインツ』は舞台設定も凝っており、ドイツ・ブンデスリーガの2部リーグ(2. ブンデスリーガ)を舞台にしている。日本のJリーグはブンデスリーガをお手本に創設・発展してきたがリーグの歴史も規模も比較にならない。

■神谷蒼『蒼のアインツ』2億円超

  『蒼のアインツ』の主人公・神谷蒼はドイツ2部リーグのレーゲンスブルクに加入し、苦難の末にレギュラーを獲得するが、2. ブンデスリーガの平均年俸は約5500万円で、J1の平均年俸を大きく上回る。ゴールキーパーはポジション別で最も平均年俸が低いが、レギュラークラスの選手が平均以下の年俸ということはないだろう。蒼は最終的にクラブの1部昇格にも貢献しており、最終的には低く見積もっても年俸2億円を超えていたのではないだろうか(ブンデスリーガ1部の平均年俸は約2億6600万円)

なお、ドイツは3部リーグの3. リーガですら平均年俸は1400万円もある。日本ではJ1所属クラブがJ2に降格すると観客動員に如実に影響が出るが、伝統クラブのシャルケ04は2部に降格しても観客動員数がほとんど変わっていない。サッカー文化がそれだけ深く根付いているのだろう。

蛇足だが、国別でプロ選手の返金年俸が最も高いのはイングランドである。トップディビジョンのプレミアリーグは平均年俸約4億1500万円で世界1位。2部リーグに相当するチャンピオンシップですら約9000万円である(何とJ1の3倍近い)。

 『カテナチオ』に登場するスカウトのシルヴィオ・テスタは「現在ヨーロッパサッカーの覇権はイングランドにある」と語っているが、プレミアリーグの平均年俸は次に平均年俸の高いブンデスリーガのおよそ1.5倍である。シルヴィオの表現は決して誇張では無い。

  サッカー漫画にはクラブとカネの関係にフォーカスをあてた『マネーフットボール』があるが、残念ながら長期連載とはならなかった。今回はスポーツとカネの関係の話なので、せめて名前を挙げておくとしよう。

  また『ブルーロック』のネオ・エゴイスト・リーグ編では選手に入札という形で直接値段がつけられる描写があることにも言及しておこう。

 

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